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2/2(金)日勤①

「おはようございます。気分はどうですか?」

「ああ、おはよう。痛み止めが良く効くみたいで、楽になったよ。」

 

 

返事してくれたのは久保井さん。

85歳のおじいさん。

 

 

「今まで病気になったことなかったのになぁ…歳はとりたくないな。」

 

 

苦笑いしながら、お腹を押さえる。

 

 

「大丈夫ですよ。すぐ元気になりますよ。ただの胃潰瘍ですからね。」

 

 

久保井さんに言葉をかける度、心が痛む…
表情をつくるのに精一杯だった。

本当は胃ガン。
発見が遅く、お腹のなかは播種性転移で手遅れ…

高齢でもあり手術はせず、緩和目的。
つまりターミナルケア。

ただ、苦しまないように死を待つ。

 

 

「はやく家に帰りたいよ。グランドゴルフも行きたいしなぁ。」

「頑張って早く帰りましょうね。」

 

 

精一杯、笑ってみせた。

やっぱり嘘をつくのは苦手だよ。
ひきつらないように頑張った。

家族の希望で本人には告知せず、胃潰瘍ということでスタッフ間も統一されている。

せめて、できるだけ苦しまないように…

それが家族の最後の希望だった。

 

 

「はい。じゃあ、これ。いつもの痛み止めのお薬です。」

「ああ、どうもありがとうな。」

 

 

ニコっと愛嬌よく笑ってくれた。

でも、渡したのは麻薬なんだ…

もう普通の痛み止めでは効かなくなってた。

麻薬であることは内緒で内服してもらってる。

 

 

「久保井さ…」

 

その時だった。

 

 

《ヴヴヴヴヴヴ…》

 

 

ポケットの中のPHSのバイブが振動した。

ナースコールかな?

着信を見るとナースステーションからだった。

 

 

「はい、中岡です。」

『救急来るから外来へ降りて。CPAだって。こっちは入院の準備しておくからね。』

 

 

PA!?
心肺停止の患者様だ。

 

 

「久保井さん、すいません。失礼します。」

 

 

はぁっ、はぁっ、はぁっ

私は階段をかけ降りた。

 

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