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〃脳外科⑧〃



「吉岡さん、おはよう…」

水木さんの奥さんだ。
何か元気無い。



「おはようございます。」

私は頭を下げた。


「水木さん、どうかされたんですか?」



私の言葉に奥さんが封筒を見せてくれた。


「主治医から精神科病院の紹介状を渡されたの。」



ここは急性期の病院。
一通りの治療が終われば退院へと話しは進む。



だけど水木さんは、自宅に帰れる病状ではなく。


まだ若いので老健などの施設も無理。



「仕方ないのよね…冷たいようだけど、私も仕事しないと子供が…」



床頭台に飾られた家族写真を見つめる奥さん。



「ついこの間までは、普通の生活だったのにね…」


奥さんの顔は悲しそうだったけど…それ以上に疲れ窶れてた。



実習中、子供さんの姿はまったく見てない。

奥さんは、たった一人悩み苦しんだのかな…




「ねえ、あなた。とりあえず今日、紹介された病院に行ってくるわね。」

淋しそうに微笑んだ。


私が水木さん夫婦を見たのは、この日が最後だった。

 



それから数日開き、実習に来ると原井さんの横にもう水木さんの姿はなかった。



水木さんはあの後、すぐに転院になって…そこには、もう新しい患者様が入院してた。


何だかショックだった。



今は冬。
脳外科は忙しい。


夏場や冬場は血管内脱水を起こしやすく、脳梗塞の患者様が増えるんだ。

また、気温変化により血圧が上昇して脳出血も増える。



つまり脳卒中の患者様が沢山病院へ受診にみえる。


でもベッドの数は限りあるから…


入院があれば、退院しないといけない人がいるのは当然だった。




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