「吉岡さんは原井さん。北沢さんは…」
師長より、一人一人の受け持ち患者様の名前を告げられた。
「はい。よろしくお願いします。」
私の受け持ちは…
カルテを開いて情報収集させていただく。
カチ、カチ。
クリックすると情報が画面に表示された。
原井 幸三さん。
72歳
既往歴:糖尿病、不整脈、脳梗塞
独居で子供はいない。
自宅で倒れていたが、しばらくの間気づかれず病院に運ばれた時には脱水を起こしていた。
お尻には床ずれもできている。
病名は脳梗塞。
今回は2回目の発症。
抗凝固剤にて予防図っていたけど、薬がきちんと飲めてなかったみたい。
「ん…」
【脳卒中】
現在、悪性腫瘍・心疾患と合わせて三大死因の一つ。
脳卒中には脳血管障害で、脳出血・くも膜下出血・脳梗塞などがあげられるんだよ。
脳卒中や心臓病などは、循環器病といわれ生活習慣と深く関わってる。
突然発症した後、集中治療を要したり長期に療養を要することが多く寝たきりや痴呆の原因となるので注意が必要だ。
そして【脳梗塞】
動脈が狭くなったり、あるいは動脈や心臓内に出来た血の固まりが脳の動脈に流れ込み詰まってしまうために起こる病気。
脳組織に血液がいかなくなり破壊されてしまう。
症状として頭痛、舌のもつれ、手足のしびれ、半身麻痺、昏睡など。
原井さんは2週間程の点滴治療が終わり、現在はリハビリが開始になったところだ。
患者様の部屋番号を見て気がついた。
さっき、私が話しかけた水木さんの隣の方が原井さんだったんだ。
今の症状は…
左の脳梗塞なので麻痺は反対側の右。
原井さんは手足とも動かせないぐらいの強い麻痺だった。
そして、失語もあり言葉が話せない…
あ。
私を無視した訳じゃなく、言葉が話せなかったんだ…