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5月 3日木曜日(雨)

5月3日木曜日(雨)

風が心地いい。

「よいしょ。」

 

 

ゴロンと芝生の上で横になった。

草の香りに包まれる。

私が浸っていると、すぐ横から声が聞こえてきた。

 

 

「パパ、いくよ。」

綾?

 

 

「ようい…ドンッ!」

突然、無邪気に走って行った。

 

 

 

「こっち、こっち。」

その先には陽子が両手広げて待っている。

 

 

 

「はははは。ようし、負けないぞ。待てー。」

私も身体を起こし、綾の後を追いかける。

 

 

昼下がりの公園。
私たち3人の貸し切りのような状態だった。

お弁当作って、家族でピクニック気分をあじわっていた。

綾、速くなったなぁ。
全然追いつけないよ。

 

 

 

「おーい、二人ともちょって待てってば。」

あっという間にだんだん二人が離れていく。

 

 

 

全力で走っても追いつけない。

何故?

 

 

 

足元をみてギョッとした。

私の下半身が地面に埋まっていた。

身体が沈んでいく。

《プシュー、プシュー》

 

 

なんとなく解っていたんだ。

これはいつもの夢だ。




私は何で病気になったんだろうか…




そんなに不摂生な生活をしてたわけじゃない。


酒は飲んでも付き合い程度だし。


タバコは周りの連中が吸ってても私は吸わなかった。


ご馳走ばかり毎日口にしてたわけでもない。



睡眠もまずまずとれていたと思う。



会社の定期検診も毎年きちんと受けていたし。





意識して健康に気をつけてたわけではないけど…

別に無頓着だったわけでもなかった。




好きなように食べて寝て遊んでしていても百まで元気に生きる人もいる。



すごく神経質に食べ物や運動に気をつけて、規則正しい生活していても病気になる人もいる。



病気って…
健康って…
ただ単に運なのかな。



だったら私は運が悪かったんだ…







今更だけど、世の中不公平だ。




死にたい…死にたい…と言っていても長生きする人がいる。



生きたいと願い、どんだけ頑張っても生きれない人がいる。



自殺が増えてるってニュースが流れる。



自殺のサイトまで存在し

一人で死ぬのができなくて知らない人が集まって自殺する事まで起きている。



でも無理して死ぬ必要がどこにあるんだろ?





辛い事ばかりかもしれないけど…


ずっと、そのままの状態が続くわけではない。



それよりも

生きる事が
いや、生きれる事がどれほど幸せなのか…





悔しい



羨ましい



妬ましい




私は死にたくないのに。



自殺するぐらいなら変わってくれ。



どんな人生でもいい。


私は生きたい…
たとえ苦しくても生きていたい。



痛っ…



…んん…



《プシュープシュー》



ふぅ。



…いつもの拷問


心臓が握り潰されるような激痛。


痛みが胸から全身に広がっていく。


圧迫感。


恐怖感。





死にたくない。




気を紛らわせようと楽しい事を考えようとしても


痛っ!




…突き刺す痛みがそれを許してくれない。



苦しい…

息が苦しい…




叫びたくても声がでず

涙の代わりに汗を出すのが精一杯で




だんだん、どこが痛いのか苦しいのかわからなくなってくる。




身動きもできず。


今できる事は耐える事。

今できる事は祈る事。

今できる事は信じる事。



助けてくれ…




明日が来るのかわからない不安と恐怖。

そして生きる事と痛みを噛みしめて。




光の見つからない暗闇の中で誰にも届かない言葉を私は今日も叫びつづけた。




助けて…
助けて…
助けて…




助けて…










私の言葉に答えてくれるものはない。


毎日を繰り返して行く。


それでも


いつかは元気になるかも。


なんて心のどこかで期待していた。





だから私は暗闇のなかで叫び続ける…



助けて…




まだ生きたい…


 

 

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