…眩しい。
陽射しが顔にあたる。
もう朝か。
呼吸器の音が無くなっただけでも、すごく静かに感じる。
…体がだるい。
やっぱりスッキリは眠れないし、スッキリは目が覚めない。
よいしょ。
重く、怠い身体を持ち上げた。
つぅ…
腹にチクりと痛みがはしった。
痛みを感じた場所を確認してみる。
手に固い何か触れる。
ぴょこんと管が飛び出していた。
思い出した…
喉だけじゃなくて、お腹からも管が生えたんだった。
改めて実感する。
もう自分の身体じゃない。
天井を見つめていた。
見飽きた風景。
何も変わらないモノ…
羨ましいな…
私は変わった。
ふと思い出す。
テレビで放送されていた病気と闘っていた男の人。
体が管だらけで…
最後までベットの上で絵を描いてた。
動けなくなる最後の日まで。
他人事みたいにみていた。
今の私ならテレビとか来てくれるのかな。
闘病生活を取り上げてもらって応援してもらえるのかな…
…何か寝てる時間が多いと馬鹿な事考えてる。
きっとテレビや雑誌に取り上げられるのなんて、本当にごく一部の人。
その陰で病気に苦しんでる人は、数え切れないくらいくらい沢山いるんだ。
《カタ…》
音のした方に視線を送ると人がいた。
親父。
手を軽く挙げると無言でソファーに腰掛ける。
何も喋らず静かに座ってるだけ。
…
沈黙が部屋を包み込んだ。
ふと、頭に何かが触れる。
そして聞こえてきた小さな声。
「よく頑張ったな。」
頭に触れてたのは親父の手だった。
でっかいシワだらけの手で私の頭をクシャクシャっと撫でる。
そして親父は部屋から出て行った。
…
我慢していた感情が…
涙がポロポロ溢れてきた。
悲しくて
苦しくて
悔しくて
不安で
抑えてたものが沢山の気持ちが…
子供みたいに声を振り絞り泣きじゃくった。
出ない声でいつまでも…