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4月22日日曜日(晴れ)

4月22日日曜日(晴れ)

『こっちです。早く!』
《タタタタタ…》

 

 

!?

 

 

人の声。
廊下を走る音。

 

 

今は多分夜中だと思う。
それなのにすごく騒がしかった。

 

 

《バタバタバタバタ…》
《ガラガラガラガラ…》

また誰かが走っている。

 

 

ただ事じゃないな…
何かが起きたのは間違いなかった。

 

 

 

『ちょっと心臓マッサージ変わって。』
『側管からワンショットで流して。』

人が集まってくる。

 

 

 

近い。
隣の部屋だった。

 

 

『うわぁーー!』
『おばぁちゃーん!なんで!?』

叫び声

泣き声

 

廊下から聞こえてくる。

静かな夜中だったから、音や声が小さいものでも余計に耳に入ってくる。

胸騒ぎがする。

嫌だ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




『おい、葬儀屋はどこにするんだよ。』
『ねぇ、平林さん所にも連絡いるよね。』



騒ぎの原因…
となりの病室のおばあちゃんが亡くなったのだ。


それは突然の事だった。

何の前触れもなく、突然に呼吸停止していたらしい…



悲しみに浸るヒマなく家人は退院の準備をしていた。



身近な人が亡くなった事。


病院は元気になる場所というわけじゃなく、人が亡くなる場所でもあるんだと実感させられた。




冷たい現実。
目の前に容赦なく遠慮なく突きつけられた。



おばあちゃんとは、よく一緒にリハビリしてた。

自分の事より、他人の事やご主人の事ばかり気にしていた優しいお婆ちゃん。



確か4月初めには退院が決まってたハズなのに…

待っている家族が居たのに…







なんで…



そんなに命は呆気ないものなのか?


そんなに命は脆いものなのか?


そんなに簡単に人が消えていくものなのか?





『早く退院したいねぇ。』



そう願ってたおばあちゃんの願いは叶った。

ただ体は冷たくなり、しゃべれなくなって目を閉じたままに…



悲しい帰宅…

誰も望まない結末…


シワだらけで、くしゃっと笑った顔が可愛かったおばあちゃん。




廊下から沢山の悲しみが伝わってくる。


啜り泣く声…
やりきれない…



おばあちゃん

みんなに愛されてたんだね…
みんなにまだ必要とされてたんだよ…











もし


もし、私が死ぬ時は誰か居てくれてるんだろうか…




それとも、ひとりぼっち
この部屋のなかで寂しく死んでいくんだろうか…


私のために泣いてくれる人はいるのかな…





怖い






死を今までで一番リアルに実感した。

今まで、どこか客観的だったものが

恐怖が体中を駆け抜ける…


死ぬとどうなるんだろう?



震えが止まらない…




死ぬのは怖い…

 

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