うーん。
うーん。
うーん。
せーの…
うぅうううぅうん。
はぁっ、はぁっ、はぁっ…
ウンチが出ない。
下剤が効いたのか、お腹はグルグルしてるのに。
息切れしてしまう。
「出ませんか?」
心配そうな表情で、優花ちゃんが声をかけてくれる。
私は首を左右に振った。
ゴメンなさい。
出そうな感じはあるのに…
気持ち悪い。
お腹が痛い。
歯痒くてイライラする。
「きばりすぎても血圧が上がるし、身体によくないので…」
少し遠慮気味に言葉が小さくなる。
「ちょっと出しやすいように浣腸しませんか?」
うぅ…
浣腸か…
でも、お腹が苦しいし。
仕方ない。
今のままだとしんどくてたまらない。
私は渋々頷いた。
《ガチャ…》
優花ちゃんは一度、部屋から出ていくと浣腸の液を手にして戻ってきた。
下着を下ろし、お尻が丸だしになる。
「失礼します。」
肛門から、何か固いものが入ってきた。
「液が入ります。できるだけ、出さないように我慢してくださいね。」
うっ。
中に何か入ってきて、気持ち悪い。
出ないように、お尻に力を入れて我慢した。
「どうしても我慢できなくなったら液を出してくださいね。」
言葉に従ってゆっくり力を抜いた。
何かが出てくる。
浣腸なんて生まれて初めてしたよ。
気持ち悪い…
「…液しか出ませんね。」
出たものを確認した優花ちゃんが残念そうに言った。
浣腸も結局、効果がなかった。
やっぱりウンチは出ないまま。
お腹も張ったまま。
ふぅ。
便秘が苦しい事を今まで知らなかった。
出るものが出ない苦しみ…
どうしたらいいんだろ…
優花ちゃんが手袋を着け指先にゼリーを付けていた。
?
何をするんだろ?
「ごめんなさい。ちょっと我慢してくださいね…」
え?
何を?
あうっ!!
戸惑っていると肛門に指を突っ込んできた。
うぅ…
何するんだ?
「固い便が触れますので摘便しますね。」
摘便?何それ?
うっ!
いたたたた…
私の肛門から指で少しづつ便をほじくり出す。
コロコロした固い便が出てくる。
だんだん柔らかい便になっていく。
お腹が少し楽になった。
…嫌な顔せず一生懸命、手で便を出してくれている。
部屋の中に広がるウンチの臭い。
もう恥ずかしいやら情けないやら…
迷惑ばかりかけて…
《ガラガラ…》
窓を開けて換気する。
そして、お尻を拭いてくれた後に便器を片付ける優花ちゃん。
「よかったです。また、出そうなときは遠慮しないでくださいね。」
そう言ってくれてもやっぱり遠慮してしまうよ…
恥ずかしいし、汚いから…
「あれ?」
優花ちゃんの手が止まる。
何?
「あー!」
何、何?
どうしたの?
「お尻赤くなって皮が破れてる…」
あぁ…最近お尻痛かったもんなぁ。
ずっと言えてなかった。
「ゴメンなさい…床擦れを創ってしまうなんて…」
床擦れなんだ。
まあ、我慢できない痛みじゃないし大丈夫。
「きちんと除圧してたと思ってたのに…看護師失格だよぉ…」
うつむいて小さい声で独り言をいう。
…そんなに気にしなくていいよ。
たいしたことないから。
「ごめんなさい…ごめんなさい。」
私に何度も繰り返し頭を下げる。
こちらが恐縮してしまう
[きに、しない、で]
「…」
《がちゃり…》
私の指す文字も目に入らない様子で部屋から出ていった。
床擦れか。
でも、優花ちゃんは注意してみてくれてたよ。
柔らかいエアマット使ってくれてたし。
時間毎にきちんと体の向きも変えてくれてた。
何もしてなかったんじゃないから気にする事ないのにな…
私が我慢せず早く言えばよかったんだ…
罪悪感で一杯になる。
つぅ…
みぞおちの辺りが痛い…
優花ちゃん、ゴメンね。