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〃脳外科⑮〃




原井さんは、これからどうなるのかな…


麻痺はどのくらいまで治るの?

言葉はしゃべれるようになるの?

ご飯は食べれないまま経管栄養が必要になるの?

甥の男性は、もう本当に二度と助けてくれないの?




……




うぅ~~

いくら考えても、私には解決できる問題じゃない。



甥の方の『無責任』という言葉が私の胸に突き刺さったまま…

ついに実習の最終日になった。



「おはようございます。」


頑張って、出来るだけ明るく挨拶した。



病室に入ると原井さんは外を見てた。




その日の原井さんは、いつもと違ってた…



「あれ?!お髭…剃ったんですか?」



伸ばしっぱなしだった髭が綺麗になってた。


「お嬢ちゃんのために剃ったんだよ。」



坂さんが茶化しながら言った。


その言葉にも原井さんは、窓の外を向いたまま。



「今日は初めて、ご飯を残さず食べたよねぇ。」


樋口さんもニヤニヤしながら教えてくれた。


「優花ちゃんに、少しでも心配かけたくないんじゃないのか。」


田辺さんが話しに加わる。


「原井さん…」


原井さんは、横を向いたままだったけど耳まで真っ赤になってた。



本当に…私のため…?




「原井さん、散歩へ行きませんか?」



私の声にチラリとこちらを向いた。



「…ん。」


軽く頷く。



「デートか。いいねぇ。」「行ってらっしゃい。」



皆に声をかけられながら、病室を後にした。





車椅子でゆっくりゆっくりと病院の中庭を回った。



「冷えますね。」


まだ外は寒い。


原井さんは、ずっとうつ向いてた。

表情は固いまま。




日の当たる場所を見つけて、そこで休憩する。




病院を見上げた。


大きいなぁ…


この建物の中に、沢山の苦しみ、悲しみが集まってるのか…



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