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〃脳外科⑬〃




私は逃げない!

間違ってない!



震える足で踏ん張った。



その時、横から出てきた手が男性の腕を掴む。



「原井さん?」


「叔父さん、何のつもり?この馬鹿を庇うの?」


原井さんは左手で男性を引き寄せた。



「あんた判ってるの?俺に見棄てられたら、あんた独りぼっちなんだぜ。」



人を馬鹿にした歪んだ笑顔。



「…」



原井さんは、そっと掴んだ手を離した。



そうだった。
原井さんには、この人しかいないんだ。

私、原井さんに迷惑を…



「そうそう、この子はあんたを一生は看ない。無責任だから言えるんだよ。」

 



原井さんがゆっくり文字盤を指した。


「で」

「て」

「い」

「け」


男性の顔色が変わる。


「可哀想だとせっかく同情してやってたのにっ!」


男性が原井さんを睨みつけた。

原井さんは臆することなく、真っ直ぐ出口を指差した。



パチパチパチパチ


そのとき、病室で拍手が沸き上がった。




「後悔しても知らないからなっ。」



男性は顔を真っ赤にしたまま病室を出ていった。






ワッと歓声があがる。


「格好いい。」

「スッとしたよ。」


原井さんの元に駆け寄り皆さんが声をかける。


この時、私には原井さんが悲しそうな表情に見えた。

 

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