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2/2(金)日勤③

「胸部レントゲンです。」

 

 

放射線技師さんがドクターに渡す。

ドクターが電気のスイッチを入れ、レントゲンを貼り付けた。

 

 

「…。」

 

 

…ひどい。

レントゲンには両肺が真っ白に写っていた。

 

 

「頭部と胸腹部CT撮って病棟上がろう。」

 

 

私はPHSで病棟に内線をかけた。

 

 

「もうすぐ上がります。エアマットと吸引、人工呼吸器、ポンプ準備お願いします。」

「いくぞっ!」

 

 

ドクターがアンビューバックを押しながら、ストレッチャーを動かす。

 

 

10゚21’

 

 

「よし、いくぞ。1、2の3っ!」

 

病棟に上がると病室の準備ができていた。

身体の下に敷いたシーツを掴み、みんなで患者様をベットへ移す。

 

 

「おい、はやくモニター点けて。」

 

 

ドクターが呼吸器を設定する。

そして、アンビューを外すとチューブの先を呼吸器につなげた。

 

 

「CVCを入れるから…セット持ってきて。」

 

 

血圧が70代。
点滴の速度を上げた。

 

「準備できました。」

 

 

ドクターはガウンを着て、清潔な手袋をはめる。

 

 

「消毒とって。」

 

シートをして、消毒後に局所麻酔を注射。
ソケイ部の太い血管に針を刺しルートにつなげ、皮膚に糸で縫い付け固定する。

 

 

10゚35’

 

 

「ごめんなさい、手を固定しますね。」

 

 

今、太い血管に点滴が入ってる。
口にも、陰部にも管があり身体中に沢山の管がつながっている状態。

患者様が無意識にでも管を抜いてしまうと大変な事になる。

抑制と言って、手をあまり動かせないよう固定させてもらった。

小林…裕さん。

この男性は小林さんっていうんだ。

 

「あの…すいません…」

「はい?」

 

 

女の人が来て部屋の入り口で立ちすくんでいた。

 

 

「ここは本当に小林裕の病室ですか?」

 

 

戸惑いながら尋ねてきた。
状況がわからないといった様子。

 

 

「どちらさまですか?」

「あ…小林の妻ですが…」

 

 

目が男性の方へ向いたまま答えた。

 

 

「一体何が…」

 

 

顔が真っ青だった。
足が震えている。

 

 

「詳しくは主治医から説明させて頂きます。少しお待ちください。」

 

 

私は深く頭を下げた。

目を閉じたままの男性。
眉間にシワを寄せ苦しそうにしていた。

汗でびっしょりになっている。
解熱剤が十分に効いてないんだね。

 

 

しんどいよね…

ベッドネームのところの担当看護師の欄に私の名前が記載されていた。

 

 

「小林裕さん。担当看護師の吉岡です。よろしくお願いいたします。」

 

 

私の言葉に男性は答えることなく、呼吸器に身を預けていた。

小林さん、あなたを待ってる人が居るんだよ。

だからさ、辛いけど負けないよう頑張ろうね。

 

 

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