新人看護師の悩み
2004年に日本看護協会が行った調査で看護学校卒業後、看護職になり仕事を続けるうえで悩みとなったことの上位3つは
①配属部署の専門的な知識・技術が不足している。
②医療事故を起こさないか不安である。
③基本的な看護技術が身についてない。
学生から医療現場へでたとき、自分のできることと現場で必要な能力との大きな差に苦しみます。
皆が苦しんでいるのです。
僕も毎日のように先輩や上司から注意を受けました。
その時は辛くて辛くて本当に毎日辞めたいとしか思わなかったんです。
失敗の原因は
看護師になり日も浅く右も左もわからず戸惑っている状態で、それでも複数の患者を担当することになり、多重の業務や突発的な業務を選択しながら、看護をこなしていかないといけないのです。
知らない処置や検査・薬の管理、患者さんや先生、上司とのコミュニケーション…わからないこと、不安なことばかりなのです。
ナースコールなどは積極的にとらないといけないし、申し送り時には先輩から突っ込まれわからず怒られて、日々自分の未熟さに落ち込みます。
苦しんでいるのは皆同じです。失敗をしているのも怒られているのもみんなが経験してきたことです。
あなたが看護師に向いてないわけではありません。
自分を責めて落ち込むことはしないでください。
医療の現場では、自分の予定通りに業務を進めることができないことが多い。
例えば、点滴の準備をしているときにナースコールが鳴ったり、患者の部屋に行こうとしたときに主治医に呼び止められたりと業務の中断はしばしば起こる。
予定通りに進めない焦りや予期せぬ依頼による混乱は、効率を求めルール無視につながりヒューマンエラーをまねくことになるという悪循環になります。
先輩もみんな新人時代には苦しんできた道のりです。
でも医療事故は起こしてしまうと、取り返しのつかないことになってしまうのです。
新人看護師の医療事故
経験1年未満の看護師・准看護師の医療事故報告
2010年1月~2014年6月の518件の内訳は
療養上の世話 約60% 薬剤 約15% ドレーン・チューブ 約12%
ちなみに一年以上経験の看護師の内訳は
療養上の世話 約65% ドレーン・チューブ 約9% 薬剤 約8%
となっていて経験者より薬剤事故が2倍くらいの報告になっています。そのなかで投与方法間違いが経験者の3倍、投与速度が速すぎたことが2倍の報告になっていました。
新人の事故報告の多い時期
最初の数か月はプリセプターの指導を受けながら業務を行っているので、報告数は多くはない。
徐々に増えていき、半年を超えたあとから毎月60件前後となる。薬剤事故の報告は3か月ごろより大きく増える。
薬剤事故の内容は与薬によるものが約91%
事故を防ぐために
看護師の仕事は一時も手を止めることなく一方では点滴速度を確認、一方では療養上の世話をするなど、同時並行で複数のことを行っている。
メモをとる、タイマーをかけるなど他の業務をしながらでも忘れない工夫を。
患者さんに頼まれたことなども、忙しさで忘れてしまうと信用してくれなくなります。
人は忘れるのです。だからメモを直ぐにとっておく。
復唱確認
確認のために言われたことを繰り返して言うこと。
看護業務を単独で行う場合や患者の言ったことを確認する場合に行われる。
指差し呼称
ダブルチェック
1患者1トレイ
1人の患者に対し薬剤を1つのトレイに準備する。
過去にも起きた患者の薬剤の取り間違い事故を防ぐため、複数の患者の薬剤を同じ場所に置かない。
1患者1行為
行う医療行為が1人患者に対し、ほかの患者と重ならないようにする。
臨床現場で不安に感じたり、少しでもわからなかったりすることがある場合、緊急性がなければ自分で調べたあとに先輩看護師などに確認する。
緊急性のある時は自己判断せず、その場でためらわずに先輩看護師や主治医に相談し解決することを心がける。
思うとおりに行かないのが医療業務。
新人の時に苦労し苦しんだことは間違いなく財産となります。
怒られていたこと、苦しんだこと、悲しかったことは身体のなかに残り、自分の看護となっています。
僕も当時は感謝する余裕なんてありませんでしたが、今は当時の迷惑をかけた人に感謝でいっぱいです。
新人看護師さん、日々の苦しみ、悲しみ、本当に嫌で嫌で仕方ないと思いますが、1年間踏ん張るだけで違う世界が待っているはずです。
頑張っている人に安易に頑張れなんて言えませんが、立ち止まり、愚痴り、一休みしながらでも前へと歩んでみてください。
その結果、これからのあなたの看護に救われる患者さんが沢山待っています。
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