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深夜の病棟で何が起きていたのか?沖縄・国立病院「14人懲戒処分」の裏側と組織の死角

沖縄の国立病院で起きた「集団懲戒処分」のニュース。一見すると単なる規則違反の報告に見えますが、その裏側には、どのような職場でも起こりうる「慣れ」の怖さと、予期せぬ形で露呈した組織の課題が潜んでいました。

なぜ14人もの職員が一斉に処分を受ける事態になったのか、そしてなぜそれが今になって明らかになったのか。事件の経緯を紐解きながら、その本質に迫ります。

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深夜の病棟で常態化していた「過剰な休憩」

沖縄県金武町にある国立病院機構琉球病院。地域医療を支えるこの場所で、看護師ら14人という決して少なくない数の職員が懲戒処分を受けました。処分の理由は、就業規則に違反した「過剰な休憩」です。

問題の舞台となったのは、主に深夜の時間帯でした。患者が就寝し、病棟が静まり返る夜勤の時間帯。本来、医療現場における夜勤は常に緊張感が求められる過酷な業務ですが、今回処分を受けた職員たちは、決められた休憩時間を超えて、さらに30分から1時間ほど長く仮眠を取っていたのです。

これがたった一度の出来事であれば、個人の不注意で済まされたかもしれません。しかし、調査によって明らかになったのは、この行為が少なくとも2021年の10月頃から続いていたという事実でした。特定の誰か一人だけではなく、20代から50代までの幅広い年代の看護師や介助職員が関わっていたことから、この「ルール破り」が一部の職員の間で「これくらいなら大丈夫だろう」という空気感とともに、当たり前のこととして共有されていた可能性が浮かび上がってきます。

厳しい処分が下された理由

今回下された処分は「戒告」というものでした。これは公務員やそれに準ずる立場の人に対する懲戒処分の中では最も軽いものですが、それでも「履歴に残る正式な処分」であることに変わりはありません。

なぜそこまで厳しい対応が取られたのか。それは、この行為が公的な医療機関で働く職員としての「職務専念義務」に違反しているからです。給与が発生している勤務時間中に、許可なく職場を離脱したり睡眠をとったりすることは、組織に対する背信行為とみなされます。特に人の命を預かる医療現場において、決められた体制が守られていない状況は、安全管理上の大きなリスクになり得るのです。

しかし、数年にわたって続いていたこの慣習が、なぜ今になって急に明るみに出たのでしょうか。そこには、まったく別の悲しい出来事が関係していました。

偶然が暴いた組織の緩み

長期間にわたって見過ごされてきた「過剰な仮眠」が発覚したきっかけは、内部告発でも定期的な監査でもありませんでした。それは、病院内で起きた入院患者の死亡事案という、痛ましい出来事の調査だったのです。

病院では、患者が亡くなるという重大な結果が生じた際、その原因や経緯を明らかにするために詳細な院内調査が行われます。今回も、ある患者の死亡を受けて、当時の勤務状況や職員の動きが徹底的に調べられました。その過程で、調査員たちは本来あるべき記録や動きと、実際の職員の行動との間にズレがあることに気づきます。

つまり、患者の死因を究明しようとメスを入れた結果、直接の関係はないはずの「職員たちの怠慢」という別の病巣が、芋づる式に見つかってしまったのです。これは病院側にとっても、また当事者たちにとっても、予想外の展開だったと言えるでしょう。一つの重大事故の裏には、無数の小さなルール違反が隠れているという「ハインリッヒの法則」を地で行くような展開が、現実の病院で起きていたのです。

「因果関係なし」が意味すること

ここで、ニュースを読む私たちが最も冷静に受け止めなければならない点があります。それは、病院側が「職員の過剰な休憩と、患者の死亡との間に因果関係は確認されていない」と明確に発表していることです。

「看護師がサボっていたから患者が亡くなったのではないか」と直感的に結びつけたくなる心理が働くかもしれません。しかし、現時点での調査結果は、これら二つの事案を切り離して考えるべきだと示しています。死亡事案の調査があったからこそ休憩問題が発覚したのは事実ですが、休憩問題そのものが死亡の原因になったわけではない、という点です。

この区別は非常に重要です。情報の断片だけを見て感情的に反応するのではなく、何が起きて、何が起きていないのかを正確に把握することが、ニュースを正しく理解する第一歩となります。

「みんなやっている」という心理の落とし穴

今回のニュースが私たちに投げかけているのは、単なる医療従事者の不祥事という話にとどまりません。組織の中で一度「ルールの緩み」が生まれると、それが修正されることなく、いかに広がりやすいかという教訓です。

2021年から続いていたという事実は、当初は罪悪感を持っていた職員も、周囲が同じように休憩を延ばしているのを見て、「これくらいは許される範囲だ」「みんなやっているから問題ない」と感覚が麻痺していった過程を想像させます。特に閉鎖的な空間や、深夜という監視の目が届きにくい環境では、こうした独自の「ローカルルール」が生まれやすく、そして一度定着すると自浄作用が働きにくくなるものです。

今回の処分は、14人の職員にとって厳しい教訓となりましたが、同時に「隠れている問題は、予期せぬタイミングで必ず表面化する」という警鐘でもあります。一見平穏に見える職場でも、足元には思わぬリスクが埋まっているかもしれない。今回の琉球病院の事例は、あらゆる組織で働く人々にとって、自らの襟を正すきっかけとなるニュースだったと言えるのではないでしょうか。


参考元 沖縄の病院で看護師ら14人が懲戒処分、何があったのか?ニュースの要点を分かりやすく解説

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