「地元の大学が公立になるらしい」 「えっ、公立になったら学費が安くなるの?」
最近、熊本県玉名市にある九州看護福祉大学に関する大きなニュースが飛び込んできました。なんと、2027年度を目処に「私立大学」から「公立大学」へと生まれ変わる計画が発表されたのです。
医療や福祉の道を志す高校生の皆さんや、保護者の方にとって、これは単なるニュースではなく、進路選びに直結する重要な話です。

今回は、なぜ今「公立化」なのか? それによって何が変わるのか? その仕組みとメリットをわかりやすく紐解いていきます。

記事の音声のみはこちら↓
なぜ「私立」のままではいけないの? 大学が抱える2つのピンチ

そもそも、なぜ今まで通り私立大学として運営を続けないのでしょうか。そこには、大学単独の努力だけでは解決が難しい、現代の大学が直面する「2つの崖っぷち」がありました。
1. 学生が集まらない「定員割れ」の深刻化

一つ目の課題は「定員割れ」です。 少子化の影響もあり、一部の学科では入学者が定員数に届かない状態が続いています。学生が減るということは、キャンパスの活気が失われるだけでなく、大学を運営するための学費収入が減ることを意味します。
2. 経営を圧迫する「慢性的な赤字」

二つ目の課題は「経営の赤字」です。 収入(学費など)よりも支出(運営費など)が多い状態が続いています。 大学にとっての赤字は、単にお金がないというだけの話ではありません。
- 古くなった校舎を直せない
- 最新の医療機器を授業に導入できない
- 優秀な先生を雇えない
このように、「教育の質」そのものが低下してしまうリスクをはらんでいるのです。医療・福祉のプロを育てる大学として、これは避けなければならない事態です。
「公立化」という起死回生の策!その仕組みとは?

そこで玉名市が決断したのが、大学を市が運営する「公立大学」にするという方法です。
「看板を掛け替えるだけで、そんなにお金の状況が変わるの?」と疑問に思うかもしれません。実は、公立化には劇的な財政ルールの変更が伴うのです。
魔法のキーワードは「地方交付税」

ここがこの記事で一番大切なポイントです。 大学が「私立」から「公立(玉名市が運営)」になると、玉名市は国に対して**「地方交付税(ちほうこうふぜい)」**というお金を申請できるようになります。
これは簡単に言うと、「自治体が標準的な行政サービス(ここでは大学運営)を行うために足りないお金を、国が代わりに補填してくれる仕組み」のことです。
その額はなんと、年間で十数億円の見込み。
この国からの強力なバックアップ(地方交付税)が入ることで、大学は赤字を解消し、安定した経営基盤を手に入れることができるのです。

公立化で期待される「3つのハッピー」

国からの支援を受けて経営が安定すると、具体的にどんな良いことがあるのでしょうか。ここでは3つの大きなメリットを紹介します。
メリット1:教育環境が充実する(学生へのメリット)

経営が安定すれば、教育にお金をかけることができます。 実習設備の更新や、より質の高いカリキュラムの導入が可能になります。「お金がないからできない」という制限がなくなり、学生はより恵まれた環境で学ぶことができるようになるでしょう。
メリット2:学費が下がる可能性がある(保護者へのメリット)

一般的に、公立大学は私立大学に比べて学費が安く設定される傾向にあります。 今回の計画でも「学生確保」が大きな目標の一つです。学費の負担が減れば、経済的な理由で進学を迷っていた高校生にもチャンスが広がります。これにより、全国から意欲ある学生が集まることが期待されます。
メリット3:街が元気になる(地域へのメリット)

「大学なんて自分には関係ない」と思う地域の方もいるかもしれません。しかし、玉名市の藏原市長はこう語っています。
「地域経済や地域貢献などあらゆる観点から考慮し公立化を進めることを判断した」
大学があることで、若者が街に住み、生活し、買い物をします。教職員も働きます。大学は「地域経済のエンジン」なのです。もし大学がなくなってしまえば、街の灯が一つ消えるようなもの。公立化して大学を守ることは、玉名市の未来を守ることと同義なのです。
いつから変わるの? 今後のスケジュール

「じゃあ、来年から公立ね!」といきたいところですが、そう簡単ではありません。 公立化を実現するには、熊本県と国の「認可(OKサイン)」をもらう必要があります。
- 目標時期:2027年度(令和9年度)
- 現在の状況: 玉名市が方針を発表し、これから国や県との本格的な手続きへ
現在高校1年生・2年生の皆さんが受験する頃には、この動きがより具体的になっているはずです。
まとめ:地域医療の未来を守るための「大きな投資」

今回のニュースを整理すると、以下のようになります。
- ピンチ: 定員割れと赤字で、大学の存続が危ぶまれていた。
- 解決策: 玉名市が大学を「公立化」する決断をした。
- 効果: 国から「地方交付税」が入り、経営が安定。教育の質向上や学費低減が期待できる。
九州看護福祉大学の公立化は、単なる運営変更ではありません。 「地域で看護や福祉を学ぶ場所を絶対に守り抜く」という、玉名市の強い意志の表れです。
医療職を目指す高校生の皆さんにとって、選択肢が増え、より良い環境で学べるチャンスが近づいています。2027年に向けた今後の動きに、ぜひ注目してみてください。

参考元
- なぜ?九州看護福祉大学が「公立化」する理由を高校生にも分かりやすく解説(朝日新聞デジタル)

コメント