ISBARC(アイエスバーク)。報告が苦手な人のための報告ツール。
相手に何かを伝えたいとき、どうしますか?
相手に伝えるのが苦手。
上手く伝わってない。
いつの間にか途切れてしまっている。
報告した相手に怒られる。
だんだん違う伝わり方をしてしまっている。
申し送り時間の短縮が求められる中、必要なことが正しく伝わってないことがトラブルのもとになることは業務を行っていて多いことだと思います。
医療事故は申し送りのミスからも起こります。
ISBRC
I 報告者と患者さんの氏名
S 患者さんの状態
B 患者さんの経過
A 自分の考え、評価
R 具体的な要望
C 復唱し確認
以前はSBAR(エスバー)といわれていたが、今ではIとCが追加された。
自分をはっきり名乗り伝える事と復唱によるエラーの防止のため。
口頭で指示を受けることは、間違いが起こりやすいため復唱は必ず行う事。
分かりやすく相手に伝えるための報告ツールです。
報告ツールを用いることは、報告しやすくなるだけでなく報告を聞きやすくします。
これは新人でも使えるように、または報告が苦手で緊張したり焦ってしまって非効果的な報告とならないようにするために役に立ちます。
どんな場面で使用するのか?
夜間休日の看護師から当直医師への電話連絡場面
患者の背景や状況が十分に認識されてないと思われる医師に報告する場面
緊急時の情報伝達の場面
スタッフ間の情報共有の場面
簡潔性があり時間短縮になりコミュニケーションエラーの減少が期待できる。
基本的なコミュニケーションの方法として活用できる。
注意するのは報告前にもう一度、今報告が必要なことか確認する。
普段の状態を把握したうえで、報告が必要だと感じたら報告。不安ならリーダーや先輩に一緒に確認してもらう。
I(Identify):自分
初めに報告者の所属と氏名、患者の氏名を伝え、誰が誰のことを報告するかを明確にする。
S(situation):状況
ポイントは緊急性が高い症状を最初に伝え、医師に何を要請しているのかを手短に明瞭に伝えること。
患者の状態で最も気になる症状を報告する。目の前にした患者を一言で表現する場合にどのように表現するか。
B(background):バックグラウンド
要領よく手短に伝える。
迅速に報告するために、緊急コールする前に報告内容を確認することが大切。
- 患者さんの入院理由と目的、既往歴やアレルギーの有無
- 入院後の経過や検査結果
- バイタルサイン
- 患者さんの訴え、痛みの程度
- 問題に関する身体所見、意識状態など
ただし主治医などで患者の状態を把握している場合は、不必要な情報は省く。
A(assessment):アセスメント
とりあえずの結論を伝える。
正解はない。結論として診断名を考える必要はない。それは医師のすること。
「・・・かもしれません」「・・・の可能性があります」という表現を使用するとよい。
R(request):要望
「〜してほしい」という具体的な要請内容を伝えます。
C(confirm):復唱確認
医師への報告は緊急で指示を受けなければいけないケースが多く、電話等での口頭指示が多くなる。
事故防止のため必須である復唱確認が追加された。
ISBARCのポイント
1番伝えたい事、目的を最初に言う事。
見出しや出だしの文で最初に人の意識を引きつけるのと同じ理由で大切なこと。
新聞やニュース、ブログの見出しは読者を引き付けるため大切なものになっています。
映画や小説、漫画などでも出だしに読者の気をひけるか大切になっています。
何かを伝えようと沢山詰め込みすぎると何が言いたいのか相手はわかりません。
また、女性は経過から順番に話したい。男性は先に結論がほしいということも看護師が医師に報告するときにエラーになってしまうもとにもなっています。
情報をたくさん伝えたいと思い報告が長くなることがあります。 そうなると聞き手は要点が絞れず情報が整理できなくなる可能性がでます。
現在、測定できるデーターはどうなっているのか、どう変化しているのか。
質問されても答えられるデーターを手元に置いておく。
最初と最期に一言、報告相手に気遣う言葉を「遅い時間にすいません。ありがとうございました。」
※年齢の報告は忘れがちになるが、重要な情報ですので注意。
問題 ISBARCを使って医師に報告しよう。
58歳女性。糖尿病の血糖コントロールのための入院。入院時から胸やけが少しすると訴えが見られていた。
入院時の空腹血糖は157㎎/㎗、HbA1c6.7%は、インスリン注射の指導を始めた。
日中のバイタルサインは血圧165/90mmHg、体温36.5℃、脈拍105回/分で不整なし、呼吸12回/分
入院2日目の夜間の巡視時に「昨日、入院前に庭の草ぬきをした。」と背中や肩の痛みを訴え湿布の希望があった。
20:30ナースコールにて冷や汗あり顔面蒼白。「息が苦しいんです」と訴えがあった。呼吸回数28回/分。血圧、脈拍124回/分、血圧76/34mmHg
報告例
I:〇〇先生ですか。夜分にすいません。〇〇病棟の〇〇です。
S:〇号室の〇〇さん58歳女性が呼吸苦を訴えているので報告します。
B:〇〇さんは血糖コントロールの目的で入院した糖尿病の患者さんです。先ほどナースコールにて呼吸苦の訴えがあり呼吸が28回と速く、昼に165だった血圧が現在76に低下しています。意識障害はありません。
A:私は、〇〇さんが放散痛の症状を訴えられていたので、心筋梗塞の可能性があるのではと考えます。
R:モニターは装着しています。至急診察をお願いできませんか?
C:酸素を経鼻で2リットル投与。12誘導の心電図検査を実施ですね。
決して、これが正解なわけではないと思いますが参考になればと思います。
※補足
無痛性心筋梗塞
糖尿病や高齢者は痛みが強く表れないこともあるので注意。
注意する症状
放散痛である背中や肩の痛み、左手小指のいたみ、吐き気、奥歯の痛み、胸の痛み、息切れ、動悸、冷や汗、呼吸困難。
呼吸停止など緊急時は、SRのみでよい。
例えば、「〇〇病棟の看護師〇〇です。〇〇号室〇〇さんが呼吸停止です。すぐに来てください」という。
こういった小さくまとめたモノを電話の近くやメモでもっておいて慣れるまでは確認しながら報告するのも一つの方法です。
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