インフルエンザは消えた?
この数年、感染の報告を聞かなくなったインフルエンザウイルス。
ただ単にコロナウイルスが話題になりすぎて、インフルエンザのニュースを取り扱ってないだけでは?
いいえ、実際にコロナウイルスが出現してからの最近2年間の冬シーズンは月によっては感染者数が1000分の1以下にまで減っていたのです。
実際に医療現場で働く人は、患者がほとんどいないと実感するほど劇的に減少しているのです。
なぜ、インフルエンザが激減したのか?
理由の一つとしては、コロナウイルス対策で行っている手洗い、うがい、マスク、アルコール消毒がインフルエンザウイルスにも同じく効果的であることが大きいと思われます。
また、3密回避のため宴会や集会、旅行など人との交流が減ったことも感染症が減る大きな理由になります。当然、海外からウイルスが持ち込まれることも減ったのです。
もう一つの理由として、コロナウイルスの出現がウイルス干渉によってインフルエンザの感染が抑えられていることも考えられます。
※ウイルス干渉:ウイルスが感染すると他のウイルスの感染・増殖を抑制する
そのため、インフルエンザウイルス感染症だけではなく、他のウイルス感染症の減少もみられているのです。
今後インフルエンザはもう流行しないのか?
インフルエンザは日本だけではなく、世界で感染報告が減っています。
インフルエンザの数が減っているなら、心配しなくても大丈夫じゃないの?
と、思ってしまうかもしれませんが、ウイルスの流行がないとウイルスに対する基礎免疫が落ちてしまうという話があります。
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2022年1月に世界である感染が話題になりました。
フルロナ感染(Flurona)
インフルエンザを示すフルとコロナを合わせ、インフル・コロナ二重感染「フルロナ」と呼ばれているのです。
2022年1月にイスラエルで世界初の「フルロナ」が報告されたのです。
2021年12月30日、30代女性が新型コロナとインフルエンザに同時に感染した。女性は妊娠中のであり、どちらのワクチンも未接種だった。
アメリカでも家族旅行から帰国した子供からフルロナの症例が確認されました。ブラジルでは乳児のフルロナ感染の報告もあります。
しかし、実は以前から重複感染は起こっていたと思われます。
2020年の時点でコロナウイルスが初めて出現した中国の武漢で、新型コロナ感染患者の中にインフルエンザに同時感染していた患者の報告があったそうです。
また、イギリスでも2020年にコロナウイルス感染症患者を調査した時にはインフルエンザウイルスにも感染していた重複感染患者がいることが判明しています。
そもそもインフルエンザやコロナウイルスに限らず、ウイルスの二重感染は起こることとされているのです。
フルロナ感染にかかりやすい人は?
子供
イスラエルの感染では、妊婦だったためワクチンの接種を受けていなかったことが原因の一つであると考えられます。
妊婦や子供などは、ワクチン未接種の比率が高いため感染のリスクが比較的高いのではと考えられています。
また、子供は大人にくらべ免疫システムが未熟であり、集団生活のなかで大人より感染に対しての理解力が低いため感染対策を意識して実施できないことも原因になるのではないでしょうか。
フルロナ感染の症状は?
コロナウイルス感染症とインフルエンザウイルス感染症はどちらも呼吸器系の疾患なため、症状がほぼ共通しています。
喉の痛みや咳、発熱や頭痛、鼻水や鼻閉、体の痛みや倦怠感など風邪のような症状があらわれます。
同時に感染しているから出る特別な症状というのはありません。
そのため、症状からは両方に感染していると気づきにくく、診察だけでは診断がしにくくなります。
コロナインフル同時検査
冬の流行期には両方の検査を実施することで二重感染に気づくことが可能になります。
どちらも、検体を鼻咽頭から綿棒を挿し採取します。
そのため、別々に二回採取となると苦痛が大きくなります。
今はインフルとコロナ同時検査できる抗原検査もあり、それを使用することで1回の検査で同時感染か、どちらかだけの感染か、もしくはそれ以外の感染なのかを診断できます。
(コロナは唾液によるPCR検査もあり、その場合は同時検査はできません。)
検査でウイルスが検出されやすくなるのは感染してから12〜24時間経過していることが大切です。早すぎると感染していても陰性になることも…
フルロナ感染は危険?
一部では、フルロナ同時感染の患者が単独感染より死亡率が高い、肺の損傷が大きいなどの報告もあります。
しかし、同時感染により症状が相乗しあうことや二つのウイルスが合体し、新しいウイルスになることは考えにくいと考えられているため必要以上に不安になる必要もないといわれています。
それでも、できる限りは同時感染は避けることが望ましいと思います。
フルロナ感染の治療法は?
コロナウイルスとインフルエンザウイルスはそれぞれ別の呼吸系疾患です。そのため治療法もワクチンも異なります。
コロナウイルスのワクチンがインフルエンザウイルスに効果はありませんし、同じようにインフルエンザウイルスの抗ウイルス薬はコロナウイルスには効果ありません。
例えば、風邪で抗生剤を希望する人が居ますが、抗生剤は細菌に効果があるものであって風邪はウイルス感染症なので抗生剤は効果がありません。
同じように、コロナウイルスやインフルエンザウイルスには抗生剤は効果がないのです。
各ウイルスに対応した抗ウイルス薬の投与が治療になります。
ただ、抗ウイルス薬はウイルスを殺すというよりウイルスの増殖を防ぐ作用になるので早期の投与の方がより効果的になります。ですので日数が経過しウイルスが増殖した後だとあまり効果は期待できなくなるのです。
ワクチンで予防、重症化を図り、風邪症状がでたら早期に受診、早めの抗ウイルス薬の投与がベストな対策になります。
インフルエンザとコロナのワクチンを同時に接種することは可能で、それぞれ別の腕に接種することができるそうです。
※しかし、これは接種時の担当医師の判断によっても違いますので医師の判断に従うよう注意してください。
コロナで重症化しなくても、インフルエンザで重症化する可能性がある‼
コロナ対策を引き続き意識することがインフルエンザの予防につながり、重複感染症の予防となります。
コロナワクチンは怖いという方は、できるかぎりインフルエンザワクチンだけでも接種をしましょう。
日本での65歳以上のインフルエンザワクチン接種は海外に比べ低くなっているのです。
インフルエンザワクチン不足
しかしこの数年、実は医療現場ではインフルエンザのワクチン不足が目立っています。
13歳以上は原則1回接種の取り組みなど、不足しないために効率的な使用を医療現場に求められています。
それでも予約の電話があっても数がなく断るしかないという事態がおこっているのです。
理由はいろいろあるのですが、近年はコロナウイルスが登場してほかの医療用品と同じく、世界でコロナウイルスに対する消費により医療品の不足が目立ちました。
インフルエンザワクチンについてはワクチン生産に使う滅菌フィルターの不足が原因の一つとしてあげられています。
ワクチンを早く打つと効果が早くきれてしまう?
ワクチンを打った直後から効果があると思ってしまう人がいますが、だいたい2週間ぐらいから抗体量が増え抵抗力が付き1ヵ月くらいでピークを迎えます。そのため、打ってまもない期間は、まだ要注意なのです。効果は5ヵ月程といわれています。
そのため、高齢者や基礎疾患のある方、受験生のいる家庭などでは早めのワクチン接種の予約を心がけてください。
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