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「たった1分の訪問看護」で高額請求? 6月の報酬改定で激変する「ホスピス型住宅」のリアル

「ホスピス」と聞けば、多くの人は人生の最期を穏やかに過ごすための、温かい場所を思い浮かべるでしょう。しかし最近、その美しい響きの裏側で、一部の事業者が利益優先の運営を行っているというニュースが報じられました。

2026年6月、国はこの問題にメスを入れるため、診療報酬の大幅な見直しを行います。

ニュースでは「報酬引き下げ」「包括払い」といった難しい言葉が並びますが、これは決して事業者だけの話ではありません。これから親の介護施設を探す私たちにとって、「良い施設」と「利益重視の施設」を見分けるための決定的な基準が変わろうとしているのです。

一体、何が問題視され、6月から何が変わるのか。専門用語を噛み砕いて解説します。


音声のみはこちら↓

なぜ「訪問看護」が錬金術になってしまったのか

今回の改定の最大の焦点は、「同じ建物内での頻繁すぎる訪問看護」です。

本来、訪問看護は自宅で療養する患者さんのために、看護師が移動時間をかけて一軒一軒を回る大変な仕事です。その対価として、国は診療報酬(医療費)を設定しています。 しかし、「ホスピス型住宅」や「有料老人ホーム」という一つの建物に看護師が常駐していたらどうでしょうか。

移動はエレベーターに乗るだけです。 ここで一部の事業者が考え出したのが、「短時間の訪問を、とにかく回数多くこなす」という手法でした。

「ドアを開けて挨拶するだけ」でも高額報酬?

これまでの制度には、「1回の訪問は何分以上でなければならない」という厳格な縛りが一部曖昧な領域がありました。 その結果、極端な例では数分、あるいは数十秒顔を出しただけで「訪問看護を行いました」として記録をつけるケースが横行したのです。

これを1日に何度も繰り返すことで、入居者1人あたり月額80万〜90万円もの医療費が請求される事例も出てきました。もちろん、これは私たちの税金や保険料から支払われます。 「手厚いケア」という名目の下で、実は「利益のための回数稼ぎ」が行われていた──これが、国が今回の大ナタを振るった背景です。


6月から変わる「2つの重大ルール」

厚生労働省はこの状況を重く見て、2026年6月から「出来高払い(回数ごとの支払い)」のルールを厳格化し、新たに「包括払い(定額制)」を導入する方針を固めました。

ポイントは大きく2つあります。

1. 「包括払い」の導入で“回数稼ぎ”を無効化

これまでのように「訪問すればするほど儲かる」という仕組み(出来高払い)に対し、新たに「包括型訪問看護療養費」という制度が作られます。

これは、同じ建物内で頻繁に訪問看護を行う場合、報酬を「1日あたりの定額」にするというものです。 定額制になれば、必要のない訪問を繰り返しても収益は増えません。報道によると、これまで月90万円近く得られていた報酬が、この新制度では最大でも月45万円程度に抑えられる想定です。

これにより、事業者は「回数を稼ぐ」ことよりも、「必要なケアを効率よく提供する」ことへ意識を向けざるを得なくなります。

2. 「20分未満」は請求不可に

もう一つの衝撃的な変更が、時間の縛りです。 これまではグレーゾーンだった短時間訪問に対し、「20分未満の訪問看護は、診療報酬の請求対象としない」という方向性が打ち出されました。

つまり、「ドアを開けて挨拶して終わり」というような訪問は、今後は一切お金にならなくなるのです。 看護師が部屋に入ったからには、しっかりと20分以上、患者さんの体に触れ、話を聞き、ケアをすることが求められます。これは私たち利用者側にとっては、「ケアの質の保証」とも言える大きな前進です。


淘汰される施設、選ばれる施設

この変更は、業界に激震を走らせています。 「経営が成り立たない」と声を上げる事業者もいるかもしれませんが、見方を変えれば、これは「正常化」のプロセスです。

これまで制度の隙間を突いて利益を上げていた事業者は、撤退するか、真面目な運営方針への転換を迫られます。一方で、もともと一人ひとりに向き合い、誠実なケアを続けてきた事業者は、このルールの変化にも動じず生き残るでしょう。

家族が施設選びで「見るべき目」が変わる

これから施設を探す方は、見学時にぜひこう聞いてみてください。

「こちらの訪問看護は、1回あたり何分くらい時間をかけてくれますか?」 「夜間や緊急時、看護師さんはどのように動いてくれますか?」

6月以降、この質問に対して「制度が変わったので…」と言葉を濁す施設ではなく、「私たちは以前からお一人おひとりに30分以上のケアを基本としています」と胸を張って答えられる施設こそが、真の「終の棲家」と言えるはずです。


【結論】「尊厳」を守るための適正化

今回の報酬改定は、単なる「医療費の削減」ではありません。 人生の最期という最も尊厳が守られるべき時間が、ビジネスの論理だけで消費されることを防ぐための防波堤です。

「報酬が下がる=サービスが悪くなる」と短絡的に捉えるのではなく、「本当に必要なケアに、適正な対価が支払われるようになる」と捉えるべきでしょう。 6月からの新制度、私たちもその運用を厳しい目で見守っていく必要があります。


参考元一覧

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