まず、行うことは髄液検査。
ギランバレー症候群の診断に大切な検査。
覚悟はしていたけど…
できれば、やりたくない…
腰椎に針を刺すところを何度となく見てきたけど、客観的に見てても痛そうな…
だけど、やらないわけにはいかない。
一度、連絡取りたいとお願いし車椅子で外に出る。
病院内は決まった場所だけでしか電話出来ない。
とりあえず勤務先と両方の親に入院になったことを電話する。
本当に申し訳ない…
その気持ちでいっぱいだった。
そして、病室に戻る。
夕方になり救急の先生が来てくれた。
うう、緊張する。
丸く丸くなり背中をつき出す。
「はい、ちょっと冷たいですよ。」
背中がヒンヤリする。
消毒してる。
このあと、局所麻酔して針刺すんだ…
うう、怖い。
「チクッとしますよ。」
ん!!
背中に痛みが走る。
麻酔をして、次に髄液採取へ。
んんんん…
麻酔は効いてるけど痛い。
早く終わってください…
とにかく長く感じた時間。
「はい、いいですよ。しばらく安静にしてくださいね。」
一時間の安静。
ベッドが柔らかいので首が痛い…
床擦れ予防のためのマット。
身体が沈む。
慣れない…
寝苦しい…
アナムネの聴取が終わり、入院書書類に記入をし、入院用の荷物を妻が持ってくる。
ちなみにアナムネとは、既往歴のことです。アナムネーゼの略。
うちの母親と子供二人も一緒。
ただ、弱ってる姿をあまり見せたくない僕は強がって横を向いていた。
夕食が配られた。
昨日の昼からご飯を食べてなかったので、かぶり付く。
ただ、手が上がらない…
食べるだけで疲労が強く脈が速くなり、息がきれる。
しんどい…
辛い…
子供には特に情けない父の姿を見せたくないし、心配させたくない…
「パパぁ、大丈夫?」
長女が手を握って声をかけてくる。
とりあえず、子供が病院くるとニギヤカになる。
周りに迷惑がないが一番心配だった。
夕方に再度、主治医の先生が説明に来てくれた。
僕は気になることがあった。
何度かネットでギランバレー症候群を調べた。
手足が動かなくなり嚥下もできずIVH入れたり、固くなった筋肉のリハビリが大変だったとか…
僕はギランバレー症候群にしては症状が軽い。
本当にギランバレー症候群なのか?
ギランバレー症候群なら予後はいいが、違う病気で治らなかったら?
拭えない不安。
おもわず、髄液検査の結果を尋ねた。
「あきらかな所見はないけど否定できる所見もなかった。」
と。
とりあえず、今日から5日間の大量のグロブリン療法がはじまる。
家族が帰ったあと、夜に点滴が開始になった。
少し不安があった。
子供のころムカデや虻の毒でアナフィラキシーショックを起こし、血圧がストンと下がったことがあった。
輸血製剤投与によるアレルギー反応はでないか…
慢性蕁麻疹で苦しんだ時期もあった。
実際に投与が始まり、一本・二本・三本・四本・五本と終わるも思った程の症状はなく一安心した。
真っ暗で静かな病室のなかで、ボーッとこれから先の事を考えていた。
真っ暗な病室。
時折聞こえるカートを押す音。
アラーム音。
話し声。
画面に映されてる自分の心電図モニターの波形をボーッと見つめていた。
変な感覚だった。
朝まで長いなぁ…