6月12日後編

まず、行うことは髄液検査

 

ギランバレー症候群の診断に大切な検査。

 

 

覚悟はしていたけど…

できれば、やりたくない…

 

腰椎に針を刺すところを何度となく見てきたけど、客観的に見てても痛そうな…

だけど、やらないわけにはいかない。

 

一度、連絡取りたいとお願いし車椅子で外に出る。

病院内は決まった場所だけでしか電話出来ない。

とりあえず勤務先と両方の親に入院になったことを電話する。

 

本当に申し訳ない…

その気持ちでいっぱいだった。

そして、病室に戻る。

 

 

 

夕方になり救急の先生が来てくれた。

 

うう、緊張する。

 

丸く丸くなり背中をつき出す。

 

「はい、ちょっと冷たいですよ。」

 

背中がヒンヤリする。

消毒してる。

このあと、局所麻酔して針刺すんだ…

うう、怖い。

 

「チクッとしますよ。」

ん!!

 

背中に痛みが走る。

麻酔をして、次に髄液採取へ。

 

んんんん…

 

麻酔は効いてるけど痛い。

早く終わってください…

 

とにかく長く感じた時間。

 

「はい、いいですよ。しばらく安静にしてくださいね。」

 

一時間の安静。

ベッドが柔らかいので首が痛い…

床擦れ予防のためのマット。
身体が沈む。

慣れない…
寝苦しい…

 

 

アナムネの聴取が終わり、入院書書類に記入をし、入院用の荷物を妻が持ってくる。

 

ちなみにアナムネとは、既往歴のことです。アナムネーゼの略。

 

うちの母親と子供二人も一緒。

ただ、弱ってる姿をあまり見せたくない僕は強がって横を向いていた。

 

夕食が配られた。
昨日の昼からご飯を食べてなかったので、かぶり付く。

 

ただ、手が上がらない…

 

食べるだけで疲労が強く脈が速くなり、息がきれる。

 

しんどい…
辛い…

 

子供には特に情けない父の姿を見せたくないし、心配させたくない…

 

「パパぁ、大丈夫?」

 

長女が手を握って声をかけてくる。

とりあえず、子供が病院くるとニギヤカになる。

周りに迷惑がないが一番心配だった。

 

 

夕方に再度、主治医の先生が説明に来てくれた。

 

僕は気になることがあった。

何度かネットでギランバレー症候群を調べた。

手足が動かなくなり嚥下もできずIVH入れたり、固くなった筋肉のリハビリが大変だったとか…

僕はギランバレー症候群にしては症状が軽い。

 

本当にギランバレー症候群なのか?

ギランバレー症候群なら予後はいいが、違う病気で治らなかったら?

 

拭えない不安。

おもわず、髄液検査の結果を尋ねた。

 

「あきらかな所見はないけど否定できる所見もなかった。」

 

と。

とりあえず、今日から5日間の大量のグロブリン療法がはじまる。

家族が帰ったあと、夜に点滴が開始になった。

少し不安があった。

 

子供のころムカデや虻の毒でアナフィラキシーショックを起こし、血圧がストンと下がったことがあった。

輸血製剤投与によるアレルギー反応はでないか…

 

慢性蕁麻疹で苦しんだ時期もあった。

 

実際に投与が始まり、一本・二本・三本・四本・五本と終わるも思った程の症状はなく一安心した。

真っ暗で静かな病室のなかで、ボーッとこれから先の事を考えていた。

 

 

真っ暗な病室。

 

 

時折聞こえるカートを押す音。

 

 

アラーム音。

 

 

話し声。

 

 

画面に映されてる自分の心電図モニターの波形をボーッと見つめていた。

 

 

変な感覚だった。

 

 

朝まで長いなぁ…

 

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