先日、日本語教師の方がSNSで発信された「学生によるインフルエンザ診断書の偽造」が話題になっています。 病院に確認したところ「医師の実在なし」「内容も偽造」であり、警察への相談に至っているという衝撃的な内容でした。
今回はこのケースをもとに、診断書偽造のリスクや、インフルエンザにかかった際の正しい出席停止ルール、そしてお金の話について解説します。

病院側はすぐに分かる?診断書偽造のリアル



「少し休みたいから適当に作ってしまおう」という軽い気持ちかもしれませんが、医療現場から見れば偽造はすぐに分かります。
電子カルテと医師のシフトですぐに発覚

今回のツイートにもあったように、病院への問い合わせがあれば嘘は即座にバレます。 今の病院はほとんどが「電子カルテ」を導入しています。「〇月〇日に誰が受診したか」は検索一発で分かりますし、そもそも診断書に記載された医師名が実在するかどうかなんて、スタッフなら一目瞭然です。 「実在する病院名」を使っていても、医師の名前や書式、印鑑、カルテ番号の整合性が取れなければ、すぐに偽物だと判断されます。

警察沙汰になるリスクと病院の負担
ツイートには「病院側も困っていて警察に相談中」とありました。 診断書の偽造は「有印私文書偽造罪」などの犯罪に問われる可能性があります。病院としても、名前を勝手に使われることは信用の失墜に関わる重大な問題です。 問い合わせ対応や警察への相談など、医療業務以外の負担が増えることは、結果として他の患者さんの診療を圧迫することにも繋がります。

インフルエンザの出席停止期間と「治癒証明」
そもそも、なぜ偽造してまで休もうとする(あるいは休んだ理由を作ろうとする)のでしょうか。まずは正しいルールの再確認が必要です。
「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日」のルール

学校保健安全法では、インフルエンザの出席停止期間は以下のように定められています。
- 発症した後5日を経過していること
- かつ、解熱した後2日(幼児は3日)を経過していること
この「両方」を満たす必要があります。無理をして登校・出社することは、周囲への感染拡大(パンデミック)を招くため、看護師としても絶対に止めていただきたい行為です。 「熱が下がったから次の日に行く」はNGです。

診断書は本当に必要?「診療明細書」の活用
今回のツイートで先生がおっしゃっていた「診断書+診療明細などでも確認」という案は非常に合理的です。
- 診断書: 医師が改めて作成するもの。
- 診療明細書: 会計時に必ず発行されるレシートのようなもの。

診療明細書には「インフルエンザ抗原検査」の実施や、「タミフル」「イナビル」などの抗インフルエンザ薬の処方が記載されます。これが処方されている=インフルエンザと診断された何よりの証拠になります。
※学校や職場によっては指定の診断書必須の場合もありますが、近年は「お薬手帳のコピー」や「診療明細書」で可とする柔軟な対応も増えています。
お金の話:受診するコスト vs 偽造のリスク

最後に、現実的な「お金」の話をしましょう。
診断書代は意外と高い(自費診療)
実は、診断書の発行は保険が効かない「自費診療(自由診療)」です。病院によって異なりますが、1通 3,000円〜5,000円程度かかることが一般的です。 学生さんにとっては大きな出費ですよね。だからこそ、「病院に行かずに自分で作ってしまおう」という魔が差すのかもしれません。
診療明細書なら「タダ」で証明になる
一方で、先ほど挙げた「診療明細書」は、受診料・薬代に含まれているため、発行手数料はかかりません(無料)。 「3,000円払って診断書をもらう」よりも、「きちんと受診して、無料で発行される明細書を提出する」ほうが、財布にも優しく、何より正当な証明になります。

まとめ:嘘をつかずに体を休めて

医療従事者として一番伝えたいのは、「体調が悪いなら、嘘をつかずに適切な医療を受けて休んでほしい」ということです。 偽造工作に労力を使うよりも、病院で検査を受け、薬を飲んでしっかり寝ること。それが一番の早期回復への近道であり、自分の信用を守ることにも繋がります。


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