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4月 4日水曜日(曇り)

4月4日水曜日(曇り)

《プシュープシュー》

 

 

 

《プシュープシュー》

 

 

 

《プシュープシュー》

《ピーピーピーピー…》

 

 

 

《プシュープシュー》

《ピーピーピーピー…》



五月蝿い。


何の音だよ…
感情を逆なでする音…



胸が苦しい
身体が痛い



さっきまでと違う…
じっとしていられない苦痛が包み込む



手が動く
足も動く
力が入る






《ガタガタガタガタガタガタ…》



ベッド柵が揺れる。
いや、揺れているのは私の身体か




ううううううぅうぅううううぅぅうう



ああああぁあああぁ





くるしいっ!




うわぁぁああぁ



痛い痛い
苦しい


《ビービービー》
《ガンガンガンガン》


 

機械のアラーム音が五月蝿い



耳障りだ



握り拳でベッド柵を叩く
皮膚が避け血が溢れ出す


手に刺さっていた管が邪魔で引き抜いた

シーツが…服が…紅く染まっていく


はぁはぁ


治まらない


苦しさも
寂しさも

悲しさも



《プシュープシュープシュー》



お前もうるさい!!


うるさいうるさいうるさい


 

《コンコン…ガチャ》

 


「小林さん、どうかしましたか…?」


扉が開いて白い服を着た女人が入ってくる。




助けて…


私は手を差し出した。



「キャーッ。誰か!」




おい!何とかしろよ!
しんどいんだよ



助けろよ
それが仕事なんだろ!!



私は血だらけの手を振り回した。



なにもかも、どうでもよかった…




痛みと苦しさと寂しさと恐怖…


逃げ出したかったんだ…




壁や看護婦さんに血液が飛び散る。



コールを押しながら叫ぶ看護師



「誰か来てください。早く!ドクターを呼んでください!」




楽にしてくれよ


誰でもいいから
何でもいいから


早く


いっそのこと殺してくれ

もう生きてる必要がないんだから…




私は目から溢れるものを止めれなかった…


《バタン》




「どうした?」
「大丈夫?」
「早く救急カート持ってきて。」



人が駆け込んでくる。

無意識に優花ちゃんの姿を捜していた。
主治医の姿を捜していた。




だけど…



「急に興奮して暴れ出したんです。」


「ルートとって。鎮静剤用意して!!」



みんなで私の手足を押さえこんだ。
たった一人の私に何人もで襲いかかる。



誰も何もわかってくれない
何も伝える事もできない








悔しい
悲しい


イライラする
落ち着かない
おさまらない
どうすればいいのかわからない



ただ、暴れるだけ
精一杯、手足を動かした

今私にできる唯一の表現、私の気持ちだった…




「小林さん、大丈夫ですから落ち着いて!」



耳元に聞こえてきた無責任な言葉…











ははは…




は…





…大丈夫?






大丈夫って


どこが?
何が?




…落ち着いてだって?




何で?
何を?
どうやって?




今まで信じてたんだ。
治してくれると信じてた。元気になれると信じてた。




…信じてたんだよ

うわぁああああああああぁぁあああああぁ!!!




ちくしょーぉぉお!!






許せない!




無責任な言葉が許せなかった。



何で


何で


何で




「ちょっと我慢してくださいね。」




腕にゴムをまかれ、注射の針が迫ってくる。





動かない身体
私は逃げれない



離せよ…
こんな体にしやがって!






ちくしょー…





ただ、普通に生きてたつもりなのに

何で…こんなことになったんだ


何で私ばかりこんな目にあうんだよ…







な…く…



頭がボーッとしてきた。
手足の力がぬけていく。


私の顔を皆が覗き込んでいた。




「先生、薬が効いてきました。」



「おい、早く抑制して!それと血圧測って。」






《プシュープシュープシュー…》



あ…








私は















いったい













何のため












生まれてきたんだろ…












 

 

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