4月1日
エイプリルフール。
亡くなったオヤジの誕生日。
全てが嘘だったら嬉しいのにな。
去年の今頃は長男の小学校入学、次男の出産準備、そして慣れない病棟で四苦八苦していた。
今の自分の状況なんて想像もできず…
世間的には新年度の始まり。
新入社員が入り新しいスタート。
期待と不安の混じった新社会人や学生も多いんだろうな。
珍しいことに今月は家族に誕生日が多い。
僕と妻と僕の母と妻の母。しかもそれぞれ1日違い。
お祝いラッシュだ。
そして間もなく僕の誕生日がきた。
また、一つ歳をとりオッサン化が強くなる。
どんなふうに過ごそうと
どんな身体になろうとも
変わらない時間の過ぎ方。
スピードは平等。
でも、与えられる時間の量は決して平等ではない。
この痛む不自由な身体に与えられる時間はあとどのくらいなのだろう。
少しはマシになっていってくれるのかな?
それとも…おじいちゃんになっても、この身体と付き合っていくのかな?
もしかしたら進行していって、早く死ぬこともあるのかもしれない。
明日の事は誰にも分からない。
4月10日
痛みはあるけど我慢できるぐらい。
4月になって寒くなったり暖かくなったり変な気温。
体調を崩してしまう。
風邪をひき咳が止まらない。
病院変わって、初めての受診。
緊張する。
何か状況が変わってくれないかな…
紹介状を渡して、先生が言った一言目は
「大丈夫、治るよ。」
え?
…励ましでも嬉しい言葉だった。
だけど、それを直に打ち消してしまうような言葉が続けられた。
「明日から毎日、出勤しなさい。」
え??
「家に居ても仕方ないでしょ?」
家に居たくているのではないけど…
不安と戸惑いでいっぱいになった。
経過も症状もあまり聞いてくれず短時間の診察で仕事しなさいと言われた。
「痛かったら点滴をしたらいいから。」
「…はい。」
新しい主治医の言葉に取り敢えず師長と相談。
試しに出勤してみることに。
4月15日
11月以来の病棟。
部長や理事長、院長に挨拶。
また、出勤できなくなるかもしれないのに…なんか申し訳ない…
看護部長に期待してたのに残念だ…と言われた。
直に復帰できるはずが全く出勤しない。
本当に申し訳ないとしか言えない…
職場。
家に居るより気分転換になる。
懐かしく
そして、新鮮で…
帰ってきたい…
仕事は
看護は嫌いじゃないから…
だけど、結局このあとは出勤出来なくなってしまった。
また、症状が強くなってしまった。
手が…足が痛い。
ジンジンする。
先生と相談してリリカカプセルを再開し点滴もするけど痛い。
指が、手首や足首が、脛や脹脛が、肩が、膝が、肘が、腕が、腰が
…痛い。
まるで年末に戻ってしまったかのように…
新しい主治医の先生は決して厳しいわけではなく、心配をしてくれてる。
病棟での仕事なら倒れても自分が診てやれる。
だから頑張れ。
一年離れてしまった今、どんどん復帰が難しくなるから。
知識も技術もどんどん失ってしまう。
人間関係も入り辛くなる。
だから、頑張れといってくれる。
その優しさにも身体は応えてくれなかった。
19日、27日、30日と病院を受診し点滴するもよくならない。
27日の点滴は眠気と怠さが強くなり動けなくなってしまった。
それでも和らがない痛み。
心配した母親は、
「お金かかってもいいから、どこか大きい病院を受診してみたら?一泊とかして遠くでもいいから。」
手足の痛みと治らない風邪で精神的に参ってしまっていた。
患者さんは病気があるから受診にくる。
だけど、その身体での外来の待ち時間は苦しくて仕方ない。
時間がかかるのは承知の上でも余計に具合が悪くなる。
箸が重たい、痛い。
携帯電話が重たい。
とにかく肩から先が無くなればいいのにと願ってしまう。
外科や内科のはっきりとした病気みたいに、何が悪いかハッキリしてくれれば…
客観的に病気を証明できれば
手術や処置で悪いとこを取り除けるならよかった…
病院関係者の知り合いが目を通してくれるフェイスブックで呼びかけてみた。
神経内科の有名な病院か先生を知らないか?
インターネットで探してみても、神経内科と云う分野でなかなかな見つけることができなかった。
もうすぐ一年。
収入がなく、傷病手当金も切られてしまうとどうすることもできなくなる。
真剣にいろんな事を考えないといけない。
仕事できないとき、どうやって生活していくのか。
もし、治らず進行していく病気なら…
想像しえるいろんなことを考えておく。
妻といる時間が長くなった。
元々出かけるときはいつも一緒だったが、今は定年後のようにいつも側でいる。
よく嫌にならないなぁと思う。
だから、せめて横であまり弱音や痛いと言う言葉を言わないように…
でないとウンザリするのじゃないかと不安になる。
「変えれるなら私の手足と変えてあけるのに…」
妻の言葉。
ありがとう。
そして、ごめんね。
こんな苦しい生活させて…
「焦ることない。まだ若いんだし、長い人生ゆっくり治したらいい。」
「様子みましょうか?」
この言葉は時間とともに重たくのし掛かってくる。
もうすぐ一年。
焦らないはずがない。
待って様子見るには時間がもうないんだ。