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6月13日後編

しばらくして妻がやってきた。

 

物がとりやすいように、食べやすいようにいろいろ買ってきてくれた。

柵にぶら下げる入れ物。
おにぎりやパン、お菓子。
スプーンやフォーク。

 

僕の手は目の前にあるものでも手を伸ばせない。
目の前にあるのに届かない。

 

いろいろ考えてセッティングしていく。

僕は思わず

 

「生まれてくる子供の名前…『げんき』にしようか?」

 

口にしていた。

妻は否定せず

 

「いいんじゃない?」

 

と答える。

 

 

単純すぎるかなぁ。

でも、一番大切なことだとおもう。

健康であること。せめて家族くらいはと願いたい。

 

昼食の時、持ってきてくれたスプーンでご飯食べようとする。

 

よいしょ。

…ん。

 

だけど、持ち上がらない…
スプーンが重たい…

ふぅ…

 

食べやすいようにように柄が大きいものを買ってきてくれたのに、僕の手は支えることができなかった。

このままだと、子供生まれても抱っこすることもできないや…

 

「大丈夫ですか?」

 

ご飯を食べるのに苦労していた僕をみて、看護師さんと相談しハーフ食で代わりにカロリーの高いジュースやゼリーが付くことになった。

本当は普段は二人前くらい食べてる。
別に好き嫌いもないから病院食も平気。

 

だけど、今回は手が動かない。

ベッドで横になっているだけなので食べれる量もへっている。

 

それと、もうひとつの理由。

 

献血ベニロンの点滴を始めたあと、頭重感・目眩・倦怠感が強く出て苦しくてしたかなかった。

気がつくと眉間に皺が入ってる。

なんどか寝返り繰り返す。

 

我慢、我慢。
手が動くようになりますように…お願いいたします。
喉の痛みもあったせいか、少しウトウトし始めると自分の唾液で咳込み目が覚める。

いっそ眠れたら楽なのに。

冷房が効いている部屋なのに、何度も汗でビッショリになる。

 

妻が家での子供の話しをする。

 

「寂しいね、会いたいねって言ってる。二人でパパの布団で寝てるよ。」

 

実は、僕が夜勤のときは布団使ってるのは知っていた。
でも、普段は一緒に寝てるわけじゃない。

 

「今は男の子は僕だけだから守るよ。」

 

小学一年生の長男がませたこと言っている。

 

泣き虫でいつも、お姉ちゃんに泣かされてるくせに…強がってさ。
今月の27日は長男の誕生日。
その時には外泊ぐらいできるようになっているかな?

午後から、事務の方が来てくれて高額医療についての説明をしてくれた。

 

手続きの仕方なども丁寧で、わかりやすかった。

 

夕食のときには風邪薬とトローチを先生が処方してくれていて一安心。

何か一つでも楽になれば、気分がちがう。

 

どうしても、床擦れ予防のための柔らかいマットが体に馴染まず寝ずらい。

時はイライラしてくる。

横向いても、上に向いても、うつ伏せになっても苦しい。

 

 

どうか、明日こそは良くなってますように…

少しでもいいから、お願いします。

 

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