今日から3月か。
早いなぁ。
何も良くなってない。
機械につながれたまま。
時間は容赦なく過ぎてく。
仕事に行かなくなって、もうすぐ1ヶ月になる。
みんな大丈夫かな?
まあ、私一人ががいなくても問題ないんだろうケド。
…さすがにクビかな?
不景気なのにマズいなぁ。
すぐには仕事見つからないだろうなぁ。
こうして入院してて面会が少ないのは少し悲しい。
こんな姿みられたい訳じゃないからいいんだけど。
きっと年度末で忙しいんだよな。
仕方ないんだよな。うん。
だけど人望がないだけなのかもしれない…
いや、きっと気をつかってくれてるんだよ。
《プシュー…プシュー…》
…自問自答を繰り返しても答なんてでない。
不安と淋しさが積もるばかりだった。
…
「麻酔使いますから、力抜いてくださいね。」
先生からお声がかかった。
横から看護師さんが注射器を手渡す。
また麻酔…
入院してもう何回目なんだろう。
「はい、針刺しますよ。動かないでくださいね。」
はいはい。
どのみち動きたくても動けないから。
いたっ…
チクっとした。
皮膚の感覚が鈍くなる。
「速く水を抜いたり、たくさんの量を抜きすぎても体に負担かかるんです。」
ただ抜いても駄目なんだ。
面倒なんだな。
「ゆっくり時間かけて決まった量だけ抜きますね。」
胸に水…といっても本当に水だけではないらしい…
タンパク質などが含まれてる。だからただ抜けばいいものではない。
ゆっくりゆっくりと水を抜いていく。
…これで少しは胸が辛いの楽になるかな?
ふぅ…
あれ?
天井の写真が変わってる。
天井は花が満開だった。
花の写真でいっぱいになっていた。
花の事は詳しくないけど嫌いじゃない。
もう春なんだよなぁ…
いつも職場や家族で花見してたっけ。
今年は流石に無理かな。
せめて来年には行きたいなぁ。
いきたい。
生きたいなぁ。
ただ普通に生活ができる事って幸せだったんだ…
いつも通り朝起きて
いつも通りご飯食べて
いつも通り新聞みて
疲れた身体、憂鬱な気分で出勤
昼休みは簡単なご飯でお金を節約して
いつも通りの残業
仕事のあと、貴志と愚痴りながら飲んで
帰りが遅くなって陽子と綾に怒られる
綾と一緒に風呂はいって三人で枕並べて寝る…
ほぼ繰り返しの毎日。
よく言われる事。
大切なものは無くなってみないとわからない…
私は無くしてしまった…
「大丈夫ですか?痛かったですか?」
目から流れた涙。
心配してくれる看護師さんに無言で首を左右に振る事しかできなかった。