たまに病院に受診すれば、何も言わなくても解ると思っている患者さんがいます。
しかし、医療側は問診を大切にしています。
診断
身体の中身は見えません。
しかし、見えないモノを見ないといけないのが医療なのです。
そのために情報をたくさん集めます。
主観的な訴えを確認する問診。
体温や血圧などのバイタルサイン。
採血やレントゲンなどの検査データ。
外観などをみて情報を集める視診。
身体に触れて情報を集める触診。
音を聞いて異常を確認する聴診。
これらに誤った情報が入ってくると誤診につながりかねません。
ちなみに、軽症であっても患者さんは聴診をあててもらえるだけで安心を得られることがあります。聴診は大切な医療行為になります。
受診したら聴診と処方を希望する方は多いと思います。
問診
患者に自覚症状や既往歴、現病歴を聞く事で診療の一つ。
視診と問診が診断への基礎となります。
問診を行うことは、緊急性の判断にもなりますし情報を整理し病気の候補を絞り込むこともできます。
医療従事者だけではなく患者さんも理解してもらえていたら、スムーズな診療へとつなげることができるのです。
初めて行く病院では、特に多くの情報が必要になります。
面倒くさいと思い適当に処理すると、病気を見逃し診断や治療が遅れることになるかもしれません。
かかりつけの病院では現在の症状についての問診で大丈夫です。
また、傾聴しコミュニケーションをしっかりとることで信頼関係のもとにもなります。
症状
一番辛い症状は何か?
だいたい、いつからの症状か?
だいぶ前から、ずっと前から、最近、さっきから…こういった曖昧な表現ではなく
半年前から、2~3か月前から、4~5日前から、3~4時間前からというできるだけ具体的な表現が望ましくなります。
たまに自分で病名をつけて受診される方がいますが患者さんの自己診断ではなく、症状が知りたいのです。
既往歴
今まで罹った病気や現在治療中の病気は何か?
現在、内服している薬は?
初めて行く病院や、他の病院で薬が処方された時はお薬手帳を忘れずに提出しましょう。
症状が薬による副作用の可能性や、薬の重複などを防ぐためにも内服の情報は大切です。
手術などはしたことあるか?いつ頃どんな手術か?
手術の内容によって、その疾患や手術による症状であったり体の中に入ってるものによっては検査できないこともあります。
薬や食べ物でアレルギーを起こしたことがあるか?
歯医者など麻酔薬でアレルギーは?
処方であったり、処置を行うときにアナフィラキシーなどを起こさないため大切な情報です。
嗜好品
喫煙や飲酒は?
いつから、どのくらいの量?
家族の病気
両親や祖父母、兄弟にがんや糖尿病などの人はいないか?遺伝的な可能性の確認。
その他
職業は?
職業がその症状の発症誘因の可能性がある。整形であったら運動などの習慣性なども大切。
周りに同じ症状の人は?
感染症の場合、誰かからの感染の可能性。
渡航歴はないか?
虫などに噛まれてないか?
同じく感染症の可能性の確認。
ちなみにWEB問診を行なっている病院もあります。
印刷をできるようにしている病院もあります。
受診をしようと思っている病院のホームページをのぞいてみるのも診察をスムーズに行うために大切かもしれません。
OPQRST問診
問診をとるための基本的なコツです。
Onset 発症様式:いつから?
Palliative 増悪・寛解因子:どんな時に悪くなる?良くなる?
Quality 症状の性質・ひどさ:どんな痛み、どれくらいの痛み?
Region 場所・放散の有無:どの場所が?
Severity 程度・随伴症状:ほかの症状は?
Time course 時間経過
医療者の求められる能力
アセスメント能力
観察力
知識と経験
これらにより病気を絞り込め適切な問診や検査へと短縮でき、また緊急性の判断も行えます。
共感力
接遇
コミュニケーション能力
話が脱線することもあり、時間がかかりすぎると他の患者さんへの診察に影響がでます。
しかし必要な情報を聞き出すためには話しやすい雰囲気は大切です。
ちなみに、医療従事者が病院に受診した時に問診などで専門用語が自然に出てしまったりすると同業者だなと気づかれてしまいます(笑)
コメント