先日の記事の中でがんの死亡率のワーストが男女とも青森県が1位と書きました。
2004年からがんの死亡率が12年連続ワースト1位の青森県。
青森県が調査に乗り出しました。
10の町と村で、がん検診を受けた25000人に調査を実施。胃と大腸のがん検診で4割が見落とされていた可能性があると発表された。
検診で異常なしと診断されたのに、その後1年以内にがんと診断された人の割合だということです。
ただし、がん検診の受けた人のその後の調査をしたのは青森県が初になるので、比較するための他の県のデーターは無い。東京都などでは検診を受けた人の数が膨大のため追跡するのは困難だと言われている。
また、サンプルとしても数が少ないので調査を進めていく必要がある。
見落としが多かったと発表された胃と大腸のがん検診。
内容はは胃がんがバリウムによるX線検査、大腸がんは便潜血検査によるもの。
バリウム検査
上部消化管造影検査ともいいます。
バリウムがX線を透過しないことを利用し、口から食道、胃、十二指腸へ名が得る様子をX線を照射しながら行う。
胃の粘膜にバリウムを付着させ粘膜の凹凸を確認することで、がんや胃潰瘍の有無を診断します。
検査の短所は発泡剤剤やバリウムがまずくて飲みにくいのとバリウムの付着で口の周りが白くなること。
発泡剤を飲むのはは胃を膨らませて病変を発見しやすくするためのもので、発泡剤もバリウムも一気に飲むのがコツになります。
また便秘にならないようバリウムを早く体外に出す必要がある。お腹の中で固まらないよう、しっかり水分を摂って下剤を内服し排出しましょう。
※この検査はバリウムやX線照射による体の負担があるのに、検査で早期の胃がんや食道がんなどを見つけるのは難しいとも言われていて否定的な意見もあります。
便潜血検査
専用の容器に便をこすり付けて提出し、血が混じってないか検査します。
精度を上げるため二日連続で便を採取する二日法が多い。大腸がんと診断される人の半数以上がこの検査で発見できるそうです。
状態により出血したりしなかったりしますので、検査したタイミングで出血が確認できるとは限りません。
簡単で安価なので検査が行いやすいが、早期の大腸がんや大腸ポリープで陽性になることは少ないとため早期発見にはほとんど意味がないという意見もあります。
また、痔による出血などでも陽性になってしまいます。
がん検査の現状
がん検診の検査の精度を上げようとすると、本来は必要でない検査による体への負担や経済的な負担、受診や検査による時間の拘束が問題になってきてしまいます。
専門家によると2割程度の見落としは許容範囲とされていますが、今回の結果と併せて心配の声が多数上がってます。
初期の発見しにくいがんは最初の検診で見落としても次回の検診時に発見するというのが、2割近くの見落としを仕方ないと判断する要因の一つとも言われています。
…医療費をかけて結果4割見落としするなら、検査の意義としての疑問は上がってきてしまいますよね。
バリウム検査や便潜血検査については否定の意見もあがっていたため、効果について青森県以外のデーターも必要だと思います。
検診の受診率に力をいれるのも大切ですが、効果が薄い検診に医療費がかかるのなら見直すべき問題になってしまいますね。
この問題を解決するには以前の記事であげた線虫をつかった検診の実用化が光となるのかもしれません。
がんの遺伝子検査
厚生労働省は、がんに関連した遺伝子の変異を一度に調べれる一括検査を保険診療で行えるようにする指針を固めたとのこと。
2018年度中の実現を目指し次世代シーケンサーと呼ばれる装置を使い100種類以上の遺伝子を一度に調べる。
現在は保険が効かず40万~100万程度かかる。
まとめ
青森県で胃と大腸のがん検診で4割の見落としの可能性。しかし他県のデーターはなく、もともと胃と大腸の検診内容に疑問の声もあった。
自治体は受診率に力を入れているが効果まではわからない。
線虫検査や遺伝子の一括検査に期待が集まる。
コメント
コメント一覧 (1件)
[…] 以前の記事のがん遺伝子の一括検査の保険診療化などにも関わってくるのでしょうか? 医療費削減へ早期発見や薬の開発への期待を寄せているとのことです。 […]