唐突ですがコストへの意識を持って働いていますか?
物品一つ一つでも無駄に使うとお金がかかります。
自分の使っているモノがどのくらいの値段なのか知っていますか?
自分が行っている行為がどのくらいの利益になるのか知っていますか?
病院は医療を提供し報酬を得ます。
しかし、他のサービス業よりわかりにくいかもしれません。
保険制度により患者から頂くのは何割かの料金になります。
診療報酬
医療の価格と内容を決めるもので1点10円。
病院の収入になる点数で保険診療をすることで点数になる。
医師や看護師などの行ったことを点数にし、1か月に1回レセプトを書いて支払基金に提出します。
請求が正しいか査定がされ、認められれば医療費が支払われます。
しかし、すべてが利益になりません。
この中から人件費や医薬品、医療機器や機材の費用、設備費などに使われ残ったものが利益になります。
しかし、医療の機器や物品は高いモノが多くなります。
無駄が多いと赤字になってしまいます。
このシステムが時に不正に使用されてしまうことがあります。
診療報酬詐欺
過去にタレント医師が逮捕され話題になりました。
診療報酬詐欺の手口は患者が受診・治療していないのに、受診したように見せかけて保険請求をするというものです。
生活保護が医療費無料であることを利用した架空請求の事件もありました。
まったく治療していないのに請求できれば全部利益になってしまいますよね。
そのため、監視・チェックが行われています。
入院基本料
診療報酬は2年に1回改正されます。
2006年の改定では、入院の収入に影響のある入院基本料に7対1看護が設立されました。
これは入院患者7人にたいして看護師1人が勤務している状態のことです。
急性期の治療をしている病院の評価をするために始まった制度。
この結果、大病院が看護師の大規模な採用活動を行い、地方や中小病院で看護師が不足し配置できず経営困難になる結果になりました。
そして急性医療ではなく、軽症をかかえる病院でも7対1看護を届け出る病院が増え医療費が膨れ上がったため、2012年度の改定より毎回ハードルを上げており、2016年の改定で7対1でより厳格化されました。
2014年では7対1看護の届け出が38万床ありました。
厚労省は当初4万床を見込んでいたため大きく医療費が増えてしまいました。
その数を減らすために改正が続けられました。
しかし2016年の改定で。入院患者の重症度の割合が15%以上から25%以上へ引き上げられたため、急性期患者の積極的な受け入れと早期の在宅復帰が必要となり対応できない病院がでてきました。
それらの病院は10対1へと移行。または13対1や15対1への移行もみられました。
7対1は患者1人1日あたりで1591点。10対1は1332点。
つまり7対1と10対1で1人あたり1日3000円ほど違ってくるのです。
そのため病床数が多い病院ほど、その影響は大きくなります。
その結果、多くの病院で経営が苦しくなっており、2018年の改定次第では閉鎖することになる病院がでてしまうという懸念があります。
日本病院協会は定例会見で急性期機能を担う病院の在り方について、患者を交えて議論するべきだとの考えを示し、結論にはある程度の時間がかかるため来年春の診療報酬改定ではそっとしておいてほしいと訴えた。
日本病院会・全日本病院協会・日本看護協会の3団体が9月4日に厚生労働省に重症度、医療・看護必要度の見直しに慎重な議論を求める要望書を提出しました。
2014年、2016年と2回連続で見直され3回連続は…という声があります。
財務相の財政制度等審議会や厚労相の中央社会保険医療協議会で7対1入院基本料の見直しがあげられているのです。
病院の経営に大きく影響のある診療報酬の2年ごとの改定。
国は医療費を抑えたいのですが、そのことにより医療崩壊につながるリスクもあり難しい調整になっています。
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