兵庫県内で2015年以降、帯状疱疹の患者が増えている。同じウイルスである水ぼうそうは2014年に乳幼児への予防接種が無料となり患者は減少している。
水ぼうそうと帯状疱疹の関係
同じウイルスの感染症である。
なんで、水ぼうそうが減ると帯状疱疹が増えるのか?
追加免疫効果
じつは感染症は追加免疫効果と言って免疫を持つ人がウイルスにさらされ、さらに免疫が強くなる効果がある。
そのため、感染した子供に触れる機会の多い子育て世代や保育士といった職業は発症率が低いとされています。
子供が水ぼうそうになり、それに接することで再び抗体が活性化し免疫が強くなる効果があった。
しかし水痘ワクチンの定期接種にて水ぼうそうが減り、その結果が帯状疱疹が増えるといった結果に…
少子高齢化というのも、子供の水ぼうそうに触れる機会が減る原因になり免疫の減る10代~20代にも帯状疱疹が増えています。
米国・カナダ・オーストラリアでは、60歳または70歳での帯状疱疹ワクチンが推奨・公費補助されています。
日本では成人の水痘ワクチン接種は、今は自由診療になってしまい全額自己負担になってしまいます。
では、何が問題なのか。
水ぼうそう
水痘・帯状疱疹ウイルスに初めて感染した時に発症する感染症。
感染力が極めて強く、水痘に対する免疫がなければ水痘を発病している者と同じ空間でいるとどんなに短い時間でも感染している可能性がある。
症状と経過
感染後2週間程度の潜伏期間を経て、全身性の発疹が出現する。
発疹は最初に頭、次に体、そして手足の順に出現する。
かゆみを伴い、数日にわたって新しい発疹が次々と出現する。
小さく平らな赤いブツブツが現れそのあと膨らみ、水膨れになって、真ん中から乾き黒いカサブタになったあと治る。
次々できるので、それぞれの段階の発疹が混在する状態になる。
殆どは数日間で治癒するが、まれに合併症を起こすことがある。
かさぶたは7日〜20日ほどで取れ、しばらくは跡が残るが、やがてキレイに消える。
かさぶたを無理に取ったり、水疱をかきむしると跡が残ることがある。
かきむしっても傷がひどくならないよう、爪を短くし、手は清潔に。
帯状疱疹
毎年だいたい1000人に5人がかかると言われている。
水ぼうそうが治った後も水痘・帯状疱疹ウイルスは潜伏感染をし続けて数年~数十年経ち精神的ストレスや体力の低下、免疫力の低下した状態となった時に活動を開始して帯状疱疹を生じる。
50代から増え、70代が一番多く、80歳までに3人に1人が経験すると言われている。
発症は1生に1度だけ。
神経痛
60代以上の発症者の4人に1人は発疹が治ったあと、痛みが残る帯状疱疹後神経痛になるといわれている。
痛みから症状が始まる。
刺すような痛みやヒリヒリするような知覚異常が最初1週間ぐらい続き発疹が出始める。
皮膚症状は水ぼうそうと同じように赤いブツブツが現れやがてカサブタへとなる。
知覚神経にそって全身へ現れる。
ウイルスが炎症を起こすため痛みがでるので、夜も眠れない激痛を感じる人もいます。
帯状疱疹後神経痛は高齢者に多くみられ、症状が重い人ほどなりやすい。
ウイルスが皮膚や神経に与えるダメージが少ない早期に治療することが大切。
ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬のほか、痛みを取り除く消炎鎮痛薬 が使われる。
水疱がつぶれて感染した場合は 抗菌薬 を使用。
帯状疱疹後の神経痛は苦しんでいる患者さんは多くいますよね。
中にはペインクリニックでブロックの治療を必要とするぐらい悩まされるひともいます。
痛みは常在すると精神的にも弱ってきますから、できれば帯状疱疹による神経痛は防ぎたいものです。
肺炎球菌ワクチンやインフルエンザワクチンのように、日本でも高齢者に水痘ワクチンの接種を勧めるよう働きかけも必要なのかもしれません。
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