頭の傷が痛い。
自業自得なんだよなぁ…
はぁ…
気まずくてみんなと目を合わせれないし…
おとなしくしているしかない。
…
ふぁ~…
眠たくなってきた。
退屈でたまらない。
昼寝してしまうと、夜眠れなくなって身体がしんどくなってしまう。
だけど、ぼーっと考え事していると悪い事ばかり考えてしまうし…
昼のテレビ番組はつまらないし…
ふぁ~…
自然とあくびばかり出てしまう。
…
《コンコン》
ん?誰だろ?
「…裕。」
スーツ姿の男性が、ドアから遠慮がちに顔を出した。
貴志…
小さい時から見慣れた顔。
だけど、すごく懐かしく感じる。
貴志の顔はやつれていた。
何かあったのか?
また、ご飯食べてないんじゃないのか?
…まあ、どうでもいいんだけどさ。
私は無視してテレビに視線を移した。
「なあ、何で目を合わしてくれないんだ?」
貴志は病室に入ってくると、ベットサイドに立ち声を荒げた。
はぁ?
何を怒ってるんだ?
どうせまた何もできない俺を嘲笑いに来たんだろ?
心の中では私を馬鹿にして優越感に浸ってるんだろ?
(ざまーみろ。)
貴志の言葉が今でも頭の中で何度も繰り返される。
「なあ、裕。俺、何かしたか?」
ベット柵を両手で掴み頭を俯けた。
哀しそうな声。
まるで私が悪者みたいだ。
たまらずカッとなる。
私は思わず貴志のむなぐらを掴み睨みつけた。
うるさい!かえれ!
「え?」
唇の動きと表情で何を言ったかわかったのだろう。
貴志の顔が強張る。
[ともだち、づら、するなよ]
私はゆっくりと画用紙に文字を書いた。
その字はガタガタに振るえていた。
悲しいからじゃない…
苦しいからじゃない…
きっと、まだ手が十分に動かないからなんだ。
きっと…
「裕……」
貴志は言葉が出てこず、唇をギュッと噛み締めて私を見つめる。
両手の拳を握った。
その手は血管が浮き上がるほど力が入っていた。
何でそんな顔すんだよ…
「…帰る。」
《ガチャン》
そのとき、目から涙が流れていた。
なんだよ…
私の方がどれだけショックだったか…
騙されない。
もう信じて悲しい思いなんてしたくない。
人の心なんて目には見えないんだから。