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2月27日火曜日(曇り後雪)

「はい、抜きますよ。楽にしてくださいね。」

 

 

固定していた糸を抜糸すると点滴の管は呆気なく抜けた。

しばらく止血のため先生が圧迫する。

 

 

「カテーテルの先、培養出しといて。」

「はい。」

 

 

点滴台、点滴の袋が片付けられる。
これで本当に熱が落ち着くのかな?

 

 

「じやあ、後はヨロシクね。」

先生が出ていき優花ちゃんが何かを持ってきた。

やや強張った表情。

 

 

 

ヨロシクお願いします。

 

 

 

 

 

 

 

 

おぇえぇえ…
げほっ

苦しい。

はぁはぁ…

喉に無理矢理指を突っ込んでいるみたいだ。

鼻から異物が押し込まれていく。
気持ち悪い。

 

 

 

 

ゲホゲホっ!!

口の中にチューブが出てくる。

これは拷問に近い。

ふぅ。
胃チューブ入れるのが、こんなに大変なものだと想像してなかった。

 

 

 

「ああ、ごめんなさいっ、ごめんなさいっ!!」

優花ちゃんがすごく取り乱している。
…こっちこそ上手にできなくてゴメンナサイ。

 

 

「気管に入ったのかな…」

優花ちゃんは細長いチューブを手に持った。

何かゼリーみたいなものを先端に塗りつける。
再び私の鼻に突っ込む。

 

 

昨日言っていた点滴の代わりの管がコレのことみたいだ。

再び喉の奥を管が通っていく。
やっぱり気持ち悪い。

 

オェッ

ゲホッ

ゴホッゴホッ

どうしても咳き込んでしまう。
涙が出てきた。

 

 

ゲホッ

「私が下手くそなせいで苦しい思いさせて…ごめんなさい。」

 

 

いいよ、優花ちゃん。

このくらい全然、苦しくないよ。

だから、そんなに辛い顔しないで。
優花ちゃんが俯いて固まってしまった。

 

 

「すいません…先輩にお願いしてきますから。」

《パタン》

 

 

肩を落として部屋から出ていった。

大丈夫なのに…

 

 

…しかし、看護師さんて大変だな。
注射や先生の診察のお手伝いだけじゃなくて
食事のお手伝い
オムツ交換したり
身体を拭いたり
着替え手伝ったり…

何でもしないといけない。

私には真似できないな。

人のお世話なんて忍耐力がない。

 

 

 

「川本さん、そんな事もできないの?忙しいのに」

部屋の外から声が聞こえてくる。

 

 

「…すいません。」

優花ちゃんが謝ってる。
先輩看護師に怒られてるんだ…

 

 

《ガチャ…》

 

 

キツい香水の匂いが部屋に広がる。
化粧の濃い中年の看護師さんが入ってきた。

 

「ごめんなさいね。小林さん。しんどいけど少し頑張ってください。」

外から聞こえた声より高い声。
ニコニコと笑顔をつくってるけど目が笑ってない…

優花ちゃんは一歩後ろに下がっていた。

 

 

「今から管を入れますので、唾を一緒に飲み込むようにゴックンしてくださいね。」

唾を?

 

 

「行きますよ。」

鼻から管が入ってくる。

唾を…飲み込む?

 

 

こうかな?

ゴックン

ゴックン

 

 

「…55cm。確認のため空気入れてみます。音を聞かせてくださいね。」

手際よく管の先に注射器を差し込む。
私のお腹に聴診器をあて、注射器の中の空気を送る。

 

 

「…いいですよ。きれいに入ってます。お疲れ様でした。あとでレントゲンで確認しますので。」

しゃべりながら忙しそうに部屋から出ていく。

残った優花ちゃんが管を鼻をテープで固定する。

 

 

ずっとこのままかな?管は入れっぱなし?
気持ちわるいな…

「…」

《ガチャ…》

 

 

優花ちゃん、落ち込んでた…

 

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