2月7日水曜日(晴れ)
何か雰囲気が違う。
いつもよりザワザワしている。
『お母さん。ねえ、ねえ、おじちゃんどうしたの?死ぬの?』
『しぃーっ』
慌てて親が子供の口をふさいだようだ。
危篤ということで普段親しくない親戚なんかもたくさん集まって来てる。
近くで世間話も聞こえる。
次から次といろんな声が聞こえてくる。
『あれ痛いの?』
『…可哀想になぁ。』
…
まるで見世物だ。
《シュー、シュー…》
…
《シュー、シュー》
あれ?
静かだ。
機械の音だけが耳に入ってくる。
少し意識がなくなってたみたい。
日が変わったのかな?
何も見えない暗闇。
昼か夜かもわからない。
何時間寝て何時間意識あるのかも確認できない。
これで何も聞こえない世界だったら…
永遠の暗闇と永遠の静寂。
死を考えただけで気が狂いそうになってしまう。
精神が壊れそうな状況。
意識をつなぎ止めてくれてるのは機械の音。
お前にずいぶん助けられているな…
《コンコン》
はい、どなたですか?
《ガチャリ…》
…
誰?
気配はするのに…
『裕…大丈夫か。』
え?
聞き覚えのある声。
貴志?
来てくれたのか?
…嬉しいような悲しいような複雑だ。
お前にだけはこんな姿見られたくなかったよ。
幼なじみの貴志。
小、中、高、大学、仕事までずっと一緒。
腐れ縁てやつかな。
どんな時でもいつも私の隣には貴志がいた。
なあ
貴志、助けてくれ!
…死にたくないよ!!
『うぅ…』
貴志…
心配かけてごめんな。
私なんかのため…
ゴメンな。
『…くくく、ざまーみろ。』
え?
『いつも俺はお前と比べられてきた。いつも劣等感を持たされてきた…』
貴志?
『死んじまえ!』
《ガチャリ、バタン…》
《シュー、シュー…》
《シュー、シュー…》