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2月 6日火曜日(晴れ)

2月6日火曜日(晴れ)

 

『こんばんは。小林さん。』

 

やあ、こんばんわ。
こんばんは…って事は今は夜かな?

 

『早く元気になってくださいね。』

 

私の担当看護師である優花ちゃん。
会話を聞いてるとまだ新人ナースさんらしい。

 

この子は一声一声、私に声をかけてくれる。
人間として接してくれる。

それだけで心が救われるんだ。

 

無言で検温だけして出ていく看護師や、診にきても聴診器も使ってくれない医者もいるのに優花ちゃんは丁寧に接してくれる。

 

『大丈夫ですか?しんどくないですか?』

 

《シューー》

 

機械を使って痰を取ってくれながらも気遣って声をかけてくれる。

肺の状態が悪く痰がとにかくたくさん出るらしい。

量が多いから頻回にこうやって痰をとらないと息が詰まって酸素が身体に入らなくなってしまうんだって説明してくれた。

 

 

だから痰がしっかり出るように薬を吸入して身体も向きを変えて背中を叩く
身体を下にしてるところに痰が溜まるから右や左に身体の向きを変え叩くと痰が出てくるんだって。

 

知らなかった事ばかりだ。


《コンコン》




『小林さん、失礼します。』
『あ、佐々岡先生。』



佐々岡先生?たしか私の担当医。




『…先生、主人の状態はどうなんでしょうか?』


うんうん、そろそろ良くなったよね。

『……』










…先生?
何で黙ってるんだろ?









『…今は厳しい状態です。一応いざという時の覚悟はしておいた方がいいと思います。』






『…え?』




え?




どういう事?
死ぬかもしれないの?



…まさか
だって私はまだ30代なのに!






《シューシュー》





あ、先生と妻で私を驚かすためのイタズラか何かなのか?



あはは!
何だ。ヒドいなぁ。






…そんな冗談。










信じられないよ…



…こんな状態で告知されて私はどうしたらいいんだろうか。





元気な状態での告知ならまた状況が違う。




苦しいし怖いけど覚悟ができる。
自分のやりたい事をしたり、病気と闘う覚悟ができる。







だけど身体も動かない。
しゃべる事もできない身体なんだ。
泣くことさえできない。
ただ、死を待つだけしかできない。






恐怖のあまり気が狂いそうになる。







死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない



怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い





誰でもいい。
何でもいい。









助けて。



助けてください。

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