∞キカイノオト∞ /2月2日金曜日(晴れ)
《シューシューシューシュー…》
何の音だろう?
時計みたいに一定のリズムで刻み込んでる。
すごい近くで聞こえてくる。頭下かな?
…此処は何で真っ暗なんだろう?
今は夜?
明かりはどこかな?
よいしょ。
…あれ?身体が動かない?
なんで??
おーい。
誰かいないのか?
おーい…
…
あ…あーーー…
何で?
声も出せない。
理由がわからない。
《シューシュー…》
何も見えない。
何も言えない。
身体が動かない。
暗闇がそこにあるだけ。
指ひとつ動かせない。
息がしんどい。
胸が痛い。
なにか圧迫されてるみたいだ。
何でこんな事になってるんだ?
…怖い。
おーい!
誰かいないのか?
助けてくれ!!
《シュー…》
さっきから聞こえる音、何の音なんだ?
暗闇の中で私がひとりぼっち…
怖い。
寂しい。
《シュー…》
えっと…
とりあえず
思い出そう。
思い出すんだ…
落ち着いて状況を整理してみよう。
私に何が起こったんだ?
まずは…確かいつも通りに妻に声かけられて朝起きたんだ。
顔洗って、着替えて、ご飯たべて…
うん。
ここまでは、いつもと変わらない。
そして、食後に薬を口の中に…
…ん?薬?
そうだ!
この数日、咳と熱が続いてしんどかった。
確か38度あったけど仕事休むわけにもいかなくて。
出勤の途中だった…
咳が全然、止まらなくなった。
息がぜぇーぜぇーヒューヒュー鳴り始めた。
息を吸っても、一生懸命に息を吸っても息苦しくて。
誰か助けて!
て、心の中で叫んだ。
身体の置き場所もなく道に倒れ込んだんだ。
息がしんどくて。
呼吸ができなくなって。
だんだん頭がぼーっとしてきた。
雨が
冷たい雨が身体に打ち付ける。
一人の男性が声かけてくれた。
だんだん人が集まってきて
しばらくして救急車の音。
かすかに覚えてるのはそこまで…
気がつくと真っ暗。
…て、事はもしかして私は死んだのか?
そんなバカな!?