2月12日月曜日(晴れ)
…今日、午後から喉を切る事になったらしい。
早い方がいいみたいだ。
…
本当に元気になるんだろうか。
私の身体はどんなになるんだろうか。
いまだに現実感がない。
他人事みたいだ。
《プシュープシュー…》
いつもと何も変わらずただ忠実に自分の仕事をするコイツ。
機械の音。
休むことなく繰り返し繰り返し働き続けて私の命を守ってくれている。
私が愚痴ばっかり言ってるのに、文句一つ言わず働いてくれる。
目が覚めた時どんな体になっているんだろうか…
いや、それより本当に目が覚めるのだろうか…
『心配しないでくださいね。元気になれば切った喉の穴は閉じれますから。』
優花ちゃんの声だ。
今日も出勤かなんだ。
『それに喉に管を入れてても普通にご飯は食べれるんですよ。』
『そうなんですか。』
へぇー。
ご飯食べれるんだ。
『声は出せないけど…体は動かせるし…』
少し声が小さくなる。
でも、励まそうとしてくれてるのがすごく伝わってくる。
気持ちが嬉しい。
うん。
プラス思考で行こう。
…そうでもしないと気が狂いそうになるから。
『大丈夫?』
『手袋は?』
『おい、ガーゼ。』
だんだん周りがにぎやかになってきた。
人の気配がたくさんになっていく。
笑い声まで聞こえてくる。
『…でさぁ、笑っちゃうだろ?』
『本当かよ。』
…こっちは笑えないよ。
何も嬉しい事なんてない。
目が覚めて今の自分の姿を見たら笑ってしまうのかもしれないが…
『先生方、準備ができました。』
『そうか。』
緊張した空気が流れはじめた。
こっちはまだ心の準備はできてない。
『では、そろそろ始めるか。』
『はい。』
待ってくれるわけもない。
…はい。
お願いします。
『フラッシュして。』
『2cc流しました。』
…
あれ。
気が遠くなってく…