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2月11日日曜日(晴れ)

2月11日日曜日(晴れ)

《プシュープシュー》

 

 

 

 

馬鹿みたいに期待してしまう。

 

 

パッと目が開いて光が広がる世界。
実はこの状態が夢で目が覚めると何でもなかったんだって…

 

 

笑えたら。

だけど
いつも突きつけられる現実に心が押しつぶされそうになる。

 

 

 

この悪夢が覚める事のない現実である事。

 

 

 

何もいらないんだ。
神様、ただ普通の生活さえ望んだらいけないのか?



『…先生、本当ですか?』


何が?


『えぇ…残念ですが。』



何?
どうしたの?





『ご主人は今は口から管を入れて機械で呼吸をしています。』


私はこの機械で生かされてる。
機械が無いと生きれない…
わかってるよ。




『ただ、口から入れている管は長い間は入れていられないんです。』



何で?


『管を口から入れているから、そこからバイ菌が入りやすい状態なんです。喉も腫れてきますし…』


『…じゃあ管を抜かないといけないんですね。』



妻が声を震わせながら聞き返す。



私も同じ事を思ったよ。
抜くとどうなるの?


 

『ただ、残念ですが今の状態で管を抜くと息ができなくなります。』





そっか。
じゃあ、死ねって事だね?




『気管切開という方法があります。』


気管…切開?


何だソレ?

それで私は助かるのか?



『肺の状態はよくありません。痰の分泌も多くて、すぐに気道が詰まってしまいます。』



だから息ができなくなるんだな。



『喉を切らしてもらいます。そこからカニューレという管を入れさしてもらって人工呼吸器を付ける方法を考えてます。』








『明日にでも行おうと思うのですがいかがでしょうか?』




『…』



陽子は黙りこんでしまった。言葉が出てこない。





私も言葉がない。
でも、選択肢はないんだよな。
あれこれ選べる状況じゃない。




うん。
他に方法がないなら、もう何でもいい。
どうでもいいから。
好きに切り刻んでくれ。
何でもしてくれ。





だから…

どうか、お願いします。
そのかわりに殺さないでください。





どうかお願いします。





情けないけど死ぬのは怖い…
まだ死にたくない。




だから助けてください。

 

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