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〃精神科④〃



午前中の作業が終わりになると


「ご飯だー。はら減ったー。」


患者様の楽しみの一つ。
ご飯の時間。


まだか、まだかと人が食堂に集まる。
中を覗きこんで待ちきれないといった様子。




ご飯は皆集まって食堂で。


これも精神科ならではの光景かな?


食事を準備するのも患者様。
慣れた様子で当番の人が配膳をおこなっていく。



「はい、どうぞ。」


パタパタパタ…

準備が終わると我先にと席につく。


「それでは準備はいいですか?」


掛け声に従い皆で手を合わせる。



「いただきます。」



え!?


みんな早いっ
黙々と口の中にご飯を押し込んでいる。




「こらっ!!」




突然の大きい声。


声の方を向くと…


バケツに素手を突っ込んで、そのまま残飯にかぶり付いてる人がいた。
看護師さんが慌ててて制止する。



残飯まで手を出すんだね。

食べる事への執着がすごい…




あれ?


まったく食事に手をつけない方がいる。


強ばった表情。



「どうしたんですか?」


私が声をかけると警戒した様子で周りを確認し私の耳元でそっと答えた。



「このご飯には毒が入ってるんですよ。私、殺される…」


「は?」


冗談でもなく真剣な顔でじっと私を見つめる。








うぅぅう~



何て言えばわからない。


笑うのも怖いし…

 





「すいません、失礼します。」


私は怖くて、その場から離れてしまった。



そのまま慌ててて看護師さんの近くに寄る。

一人で対応するのは心細いよぉ…



看護師さんは介助の最中だった。


「はい、口開けて。」



食後は薬。
順番に患者様の口の中に薬を入れてた。





「皆さん?自分で飲めないんですか?」


不思議に思い質問した。



「ああ、コレね。飲んだふりして捨てたり、吐き出す人がいるから確実に内服してもらう為なんだよ。」


「拒薬ですか…なるほど。」


病気を否定している人や妄想がある人にとっては内服もしたくないたろう。



「…それにしても凄い量ですね。」


「うん、これを僕らが飲んじゃうと数日間は身体動けなくなってしまうんじゃないかな?」



笑いながらの返答に冗談なのか本気なのか解らなかったけど、信じてしまうくらい量は多かった。




しかし何をするにも集団で行動。
なんか学校みたい。



患者様のベットも特徴的。


「あのー…カーテンってないんですか?」


何か理由があるのかな?


「そうだね。プライバシーの問題があるよね。でも、自分だけの世界に入ってしまわないよう周りとの関係作りのためなんだよ。」


病棟の師長が疑問に答えてくれた。

妄想や幻覚に浸らないよう、他の人と交流しやすい環境への配慮。



ここの病院では病室にテレビもカーテンもないし、個室もない。
普通からは考えられないこと。


だけどきちんと意味のあることなんだね。


パラパラと談話室に集まりTVを見ている。
会話してる患者様。


全て意味のあることなんだね。


この実習では驚いてばかりだよ。

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