〆突然のベル〆
《ピピピピピ…》
あら、電話のベルが鳴ってる。
私は何も気にせずに受話器に手を伸ばす。
…その電話が今までの生活を全て失う事になる悲しい警告のベルだったなんて、まだ知らなかったの…
『もしもし、小林さんのお宅ですか?』
「はい。…どちら様ですか?」
知らない番号だ。
知らない男性の声。
またセールスかイタズラ電話かなと思って受話器を降ろそうとしたときだった。
飛び込んできた言葉は予想しない言葉。
『落ち着いて聞いてください、ご主人が先程、救急車でこちらの病院に運ばれました』
やや早口に、電話先の相手が話す。
…
え?何て言ったの?
なんなのコレ??
もしかして振り込め詐欺か何かなの?
私は言葉が出てこなかった。
突然の電話で
突然夫が入院になりました、って言われてもすぐに理解ができなかった。
事故?
事件?
軽い怪我?
骨折か何か?
病院へ向かう車のなかで頭が混乱し胸は不安で張り裂けそうになってた。
そして病院にたどり着いた時、私はたくさんのものを失う事になる。
容赦ない現実がそこに存在していた…