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2月5日(月)

二月五日(月)

 

 

眩しい。
窓から光が差し込む。
もう朝なんだ。

 

 

何もかわらない…
何もわからない…

気持ちは真っ暗なまま。

 

 

主人の顔を覗き込む。

あ…
無精ひげ…
大分伸びたんだ。
あんなに几帳面だった人がこんなになって。

 

 

…ふぅ
現実離れしたこの状況にまだ慣れない。
胃が痛い…

 

 

廊下を見てみる。

 

 

朝食の時間。
みんなにご飯が配られてた。
当然うちのところにはないんだよね…

点滴が主人にとってのご飯だもんね。



涙はもう流れないよ。
きっと出し尽くしたんだろうと思う。


相変わらず何も気にせず寝てる主人。




…人の気も知らないで気持ちよさそうに
また、ほっぺたをつねってみる。


よく綾は私の真似をする。
何もしてない主人に私の真似をして怒りながらほっぺを引っ張る。
娘に弱い主人は怒れず笑うしかない。




我が家の日常的な光景。


「失礼します。」


看護師さんが数人入ってくた。
私の手先を見てクスリと笑う。



私は気づいて慌てて手を引っ込めた。



「身体お拭きしますね。」


主人の清拭の間、トイレにいこうか。


クゥ…



お腹がなる。
あぁ、そういえば数日まともにご飯食べてない。
ダイエットしてるわけじゃないけど食べるのが今は面倒くさい…



お腹が空いたって感じれる余裕が少し出てきたんだ。


トイレから出て鏡に写った自分の姿にショックをうける。










誰?







みすぼらしいオバサンが鏡に写ってる。
目はぽってり腫れ目の下にクマ。
鼻は真っ赤になって髪はボサボサ…
化粧もずっとしてない。




思わず後ろを振り向いたけど、もちろん私以外誰もいない。

部屋にもどると主人はヒゲもキレイに剃ってくれて服も代えてくれていた。




手鏡でもう一度、自分の顔を確認してみる。
いつ誰が来るかわからないのに私は何て姿なんだろう…



慌てて洗面所に行き顔を洗う。
大きく深呼吸する。





主人は死んだわけじゃないんだよ。
生きているんだよ。
何を泣いてるの?
泣くのはいつでもできる。後からでもできるよ。
主人はまだ闘ってるんだ。
私が負けるわけにはいかないよ。





部屋に戻り窓を明け空気を精一杯吸い込む。




ああ、気持ち次第で世界は変わるんだ。
灰色だった世界に色が戻ってきた。




私は前を向く!
逃げない!!

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