兵庫県の映画館で5月6日、売店で購入したフライドポテトを食べた5歳の男児が意識ががせき込み、もうろうとするなどアナフィラキシーショックを起こしたため、母親が携帯した注射薬を打ち、救急車で病院に運ばれた。病院に入院したが、回復している。
男児は小麦アレルギーがあり、母親は成分表に小麦などが書かれていないことを確認した。
しかしポテトは昨年末、小麦を含むものに変わっており、それなのに成分表が更新されず、小麦が未記入のままだった。
母親が適切な対応したおかげで男児が助かったのだとおもいます。
食べ物のアレルギーについては、みなさん他人事ではないのではありませんか?
アナフィラキシー
身体に対する外敵が入ってきたときにやっつけようとする「免疫」という機能が備わっていて、本来害のないものにまで過剰に反応することをアレルギーという。
アレルギーの原因となる物質が身体に入り短い時間で全身の発疹や痒み、顔面のはれなどの症状をもたらすものをアナフィラキシーという。
血圧が下がったり、呼吸や意識の状態が悪くなるアナフィラキシーショックは早急に治療しないと命にかかわる場合があり、日本では年間50人~70人程度が亡くなっている。
原因
食べ物
食物アレルギーの原因となる食品を食べて症状が現れる。子どもから大人まで幅広い世代でみられるが、特に乳幼児に多い。
鶏卵、牛乳、小麦は、三大アレルゲンといわれている。乳幼児期の食物アレルギーの原因となることが多い。
上記3つにピーナッツ、そば、大豆、えび、かにを加えた7品目は食品衛生法で食品の表示が義務づけられている。
食物依存性運動誘発アナフィラキシー
食品を食べただけでは症状がでないが、食後4時間以内に激しく運動をすることによって起きる特殊なアナフィラキシー。
食品と運動が組み合わさると症状が現れるので注意。
蜂毒
スズメバチ、アシナガバチなどの蜂の毒液によるアレルギー反応。
日本では、蜂刺されによるアナフィラキシーショックで年間20人ほどが亡くなっている。
1回刺されただけでもアナフィラキシーを起こす危険があるので、もっとも注意が必要。
最初に刺された時にアレルギーを起こす物質が身体の中に作られ、2回目以降に刺されるとアナフィラキシーを発症する場合がある。
クラゲに刺されたりダニ、アリ、ハムスターなどにかまれたときや動物の毛やフケなどが原因でも症状がでることがある。
薬物
造影剤、ワクチン、抗てんかん剤、抗がん剤、解熱鎮痛剤、抗生剤、抗菌薬、麻酔薬、血液製剤、生物由来製品など投与するときは十分に注意しよう。
検査や処置の時、予防接種のとき抗生剤投与の時などはアレルギーの有無の確認と投与による症状の観察をおこなってますよね。
抗生剤は昔はパッチテストをやってましたね。
ラテックス(天然ゴム)
ゴムノキの樹液に含まれる成分。
天然ゴム製品に触れてアナフィラキシー反応が起こる場合がある。
医療用手袋やカテーテルなど。
他、炊事用手袋、風船や避妊具、ゴム靴、ゴム草履などの日用品にも使われているため日ごろから接触する機会が多い。
ラテックス・フルーツ症候群といってラテックスアレルギーがあると、バナナ、アボカド、キウイなどにもアレルギーを起こすことがある。
症状
アナフィラキシーの特徴のひとつは通常30分以内、ときには5分以内の短時間で症状があらわれること。
症状が出るまでの時間は、アレルゲンや患者によって差がある。
薬物や蜂毒は直接体内に入るため、早く症状が出る。
食べ物は消化され吸収されるまでに時間がかかるため、症状が出るまで薬物や蜂毒よりは時間がかかることが多い。
また、アナフィラキシーは、一度おさまった症状が再びあらわれることもあるので注意。
最も多い症状は皮膚症状の蕁麻疹、発赤、かゆみなど。
粘膜の症状としては目の周りや唇が腫れてきたり、重い場合は顔面全体が腫れる。
呼吸の症状としては呼吸が苦しい、くしゃみや咳が出る、息をするときにヒューヒューという音がする。
消化器系の症状では吐いたり、強い腹痛、下痢。循環器症状の血圧低下。
1割におこる返答がおかしい、ぐったりして返事がないなどの意識障害のショック症状は危険である。
じゃあ、アナフィラキシーと思ったらどうしたらよいのか。
対応
すぐに救急車を呼ぶ。
アレルギーの原因となるものを取り除く
食べ物の場合は、口内に残っているものを出し吐ける場合は吐き出す。
接触アレルギー症状の場合は原因となる成分を身体からのける。
意識障害などのショック症状やのどの強い症状、息苦しさがあらわれた場合には、速やかにアドレナリン自己注射薬を用います。
アドレナリン自己注射薬は2011年9月に保険適用となった。処方には専門の医師の診断が必要です。
アナフィラキシーショックに対する救急救命用としてエピネフリン(エピペン)の自己注射が承認され保育園や学校、介護施設などでエピネフリンを常備している所も増えている。
安静な体位
一時的に症状が良くなっても、再び急激に悪化する可能性もあるので気を付けよう。
呼吸が苦しいときは上体全体を高くする。
吐き気があるときや嘔吐をしているときは身体を横向きにする。
それ以外の場合は仰向けに寝かせ足を高くする。
治療・看護
アドレナリン(エピネフリン)の投与が第一選択。
血圧の上昇、血管収縮作用の強化、気道の粘膜浮腫の抑制、気管支拡張の促進、心収縮力増大などの作用があり、重篤な症状の緩和に大きな効能を有している。
アナフィラキシーと診断した場合または強く疑われる場合には、アドレナリンを大腿部に筋注する。
同時に輸液と酸素投与を行い症状の改善を図る。
呼吸困難や血圧低下などの重篤化に繋がる症状がない場合は、抗ヒスタミン薬などを投与し、軽度症状の緩和を図る。
血圧の低下がみられる場合には、生理食塩水や乳酸リンゲル液による輸液を行い、血圧の維持または上昇を図り血圧・心拍数・心機能・尿量などに応じて輸液量を増減します。
気道の狭窄・閉塞に伴う呼吸困難が生じた際には、直ちに気道を確保。酸素投与を行う。気道狭窄・閉塞が改善されない場合には気管内挿管必要になることもある。
ショックをおこした患者に出会った場合
初期症状が出現した時点で、エピネフリンの準備と静脈路の確保を行っておくことが重要。
薬剤投与時に症状が出現した場合は、直ちに投与を中止すること。
バイタルサインや全身状態を観察。
応援を直ぐに呼び、とにかく人員を招集。ドクターコールをすぐに行う。
気道の確保や下肢拳上を行う。
→下肢拳上を行うことで血圧の低下を抑えることができるので、仰向けの状態で下肢を15~30cm挙上する。
ぼくも、子供のころから虫に刺されるとアナフィラキシーをおこして目が真っ暗になり意識がとんだことがあります。
ギランバレー症候群になったのも、そういったことが誘因になってるのかもしれないですね。
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