医療事故の起きる理由
医療者は患者さんの体に起きていることを把握しているわけではありません。
データが無かったり、データ自体が間違っていれば名医でも誤診をしてしまいます。
なぜなら医療は患者さんの問診(自覚症状や症状の経過、原因)や客観的データ(身体の所見や検査の結果)などを集めて、見えない場所でで何が起きているのかを診断するのです。
見えないモノを想像し、診ないといけないのが医療なのです。
たまに、病院に来たらなんでもわかると思い黙っている患者もいます。
しかし、病気を探るには何時から何がきかっけなのかなど問診もすごく大切なことなのです。
そしてそこに間違った情報が加わると、事故へとつながります。
経験や観察力などが、その違和感を気づくこができ予防することができることもあります。
病院には安全はなく、リスクしかないと言われています。
つまり医療事故はたまたま起きたのではなく、たまたま起きなかっただけなのです。
事故の対策
医療事故の対策は何をするのかではなく、何故するのかを説明することが大切なのを知ってください。
わからないまま行為をやらされると、安全行為は手間でしかないため省いてしまい事故へとつながってしまうのです。
第1に、やめる
そのことを廃止したり、無くしてしまえば事故はおきません。
第2に、できないようにする
やめれないのなら、危険つながる行為をできなくする工夫をします。
第3は、わかりやすくする
できないようにできない場合は、間違えないためにわかりやすくします。
色で分けてみたり、大きく表記してみたり気づきやすく工夫しましょう。
第4は、やりやすくする
わかりやすくできないのなら、やりやすくします。
手間を減らすだけでも効果があります。
これらに加え、知識や意識を上げていくことが大切になります。
スイスチーズモデル
スイスチーズとは
ブロックに眼と呼ばれる穴を持つ外観のあるもの。
そして、スイスチーズモデルとは1997年にリーズンという学者が組織の事故という本の中で発表した多重防衛システムのことで医療に限らず、航空や交通機関、作業現場などでも用いられる。
事故発生のメカニズムを説明するもので、リスク管理に関する概念。
スイスチーズの内部に穴が空いており、穴の開き方が異なるスイスチーズを薄切りにして何枚も重ねると貫通する可能性は低くなる。
リスクにおいても視点の異なる防御策を何重にもすることで事故や不祥事の発生する危険を減らすという例えにつかわれる。
完璧な防御はないので、個々のシステムが正しく機能することが大切になる。
つまり一枚一枚が環境であったり、人であったり、モノであったりして貫通しないように穴を小さくしたり、チーズの枚数を増やしていきます。
途中で確認を怠ったり、勘違いしてしまったり、機械に問題があったりすると穴を通過されます。
穴が大きかったり穴の数が多いと、どんどん通過され事故発生がしやすくなってしまいます。
スイスチーズモデルは、原因分析や再発防止の検討に使われます。
そして、医療安全の対策でもう一つ
ハインリッヒの法則
1928年、ハーバート・ウィリアム・ハインリッヒが論文で主張した災害防止に関する統計。
重大な事故の98%は事前に防げると言っている。
5000以上の労働災害を調べ、1の重大な事故の背景には29の軽微な事故と300のヒヤリハットが存在するという法則性を示した。
1つ1つの小さなミスを対策することが、安全管理の基礎になります。
数が多く上がることが問題になるのではなくて、全てが同じ原因に根ざしていることを見逃さないことが大切だと言われています。
そして、ヒヤリハットの数を増やすためには意識づけが大切です。
罰のために書くのではありません。
事故の予防や再発を防ぐための分析で必要になるのです。
ヒヤリハットを書くことは悪いことじゃない、気づきの力、観察力がある人なんだと伝えましょう。
けっして個人を責めないこと。システムを見直すこと
KYTで日頃より気づきの力を上げることも大切です。
ヒヤリハットで集めた情報を基にして、上記の対策を上から順番に考え実施できることを選択し、スイスチーズの枚数を増やすか穴を塞ぐ小さくしていくことで事故の発生確率を低くするのが医療安全での大切なことです。
医療安全は手間とコストがかかります。
しかし、事故を起こすと取り返しがつかないことになってしまいます。
ヒヤリハットの時点で向き合い患者を、スタッフを、病院を護るという意識を大切に取り組みましょう。
コメント