4月12日木曜日(晴れ)
っ!
…
はぁはぁはぁ…
綾?
…夢か?
ふぅ…汗でびっしょりになってる。
綾が金髪になって煙草くわえてた。
お腹にはタトゥーにピアス…
横には馬鹿そうな男。
よく考えたら綾はまだ小学生になったばかりなんだよな。
なんか最近ろくでもない夢ばかりだ。
夢でまで何で苦しい想いをさせられるんだろ…
綾に悪い虫はついてないだろうか?
変な大人が後ろをついて歩いてないだろうか?
悪戯されたり誘拐されたりしないだろうか?
『カイくん』
ふと思い浮かんだ名前。
綾がいつも幼稚園の話しする時に出てくる男の子の名前。
気になって幼稚園に迎えに行く度に、どんな顔してるのか捜した。
だけど結局見つけれず、どんな奴かわからなかったまま。
綾がカイくんの話しする度に私は横向いていた。
何故か聞きたくなかった。
いつもヤキモチ妬く私に「子供相手にムキになって馬鹿みたい…」って、陽子が呆れていたなぁ。
確かに馬鹿馬鹿しい話しだよ。
自分でそう思う。
でも最近の子は変に知識があるし、なんでも早いんだぞ。
心配しすぎな事はないと思うんだ。
いつかは綾に本当に好きな人ができる日が来るんだ。
綾に「結婚せずにずっと家に居ていいんだよ」って冗談半分に言うと横で陽子に頭を叩かれたっけ。
月日が経って
大きくなった綾は「パパのお嫁さんになる」なんて言わなくなって
いつの間にか、お風呂も嫌がって一緒に入ってくれなくなって
思春期にはパパは臭いから洗濯も別にして…とか拒否されるようになるんだろう。
ショック受けるんだろうな…
…
でもさ、何を言われてもいい。
嫌われたっていいから。
私は生きていたいよ。
《プシュープシュー》
…なぁ綾、元気に学校行ってるか?
勉強はちゃんとついていけてるか?
お前は飽きっぽいところあるからな。
途中で放り出したりしてるんじゃないか心配だよ。
私が居れば、お前に教えれるのにな…
なぁ綾、給食は全部食べれてるか?
お前は食べるがいつも遅いし、好き嫌いも多いから。
嫌いなモノはいつも別けてお皿の端に寄せてしまうから、もしかしてピーマンや椎茸を残して先生に怒られてるじゃないのか?
私が居れば好き嫌いなんてさせないのに…
なぁ綾、友達は沢山できたのか?
イジメられたりとかしてないか?
お前は人見知り強いから隅っこで立ってたりしてないか?
私が居れば何があっても守ってやるのに…
綾、私は不安なんだ。
お前は、陽子に似て我慢して強がるから…
ホントは泣き虫なのに…
私はここに居るのに…
私はどこにも居ない…