夜中の3時頃だった。
トイレに目が覚めると部屋に戻った後に、再び激痛に襲われた。
頭が痛い。
手足が痛い。
寒い。
ゾクゾクする。
手すりにもたれかかる形で布団に潜り込み丸くなっていた。
ナースコールを押すか悩んだけど、巡視に来るまで我慢しようと歯を食いしばった。
少し待てばマシになるかという思いもあった。
考えは甘かった。
痛みは強くなり、呼ぶことさえ出来ずに
いたいいたいいたい
くるしいくるしいくるしい
その、くりかえしで死にたいとさえ思ってしまった。
「どうしたんですか?」
看護師さんが来たのは朝食の配膳も終わったあとの8時過ぎだった…
熱が38.3度。
「これ飲んでください。」
解熱剤を飲み、採血。
完全にダウンだった。
この点滴、こんなにしんどかったんだ…
「熱が出ているけど、点滴治療はもう開始したから中止することはできないんです。」
朝から研修医の先生が診に来てくれた。
この状態で点滴は…もっと、痛みが出てくるんだろうな…
しばらくして
「おはようございます。」
日勤の看護師さんが点滴をつなぎにくる。
「点滴をはじめますね。」
しかし、熱が出たことや薬を飲んだこと採血したことなど知らなかった様子。
いつも、連絡が上手くいってない…
しんどい…
「採血ではなにも炎症性のものはなかったです。とりあえず、心当たりのものを外注で頼んだので明日の点滴終わる頃には結果が出ると思います。」
点滴終わってから、どうしていくか考えましょうとの事だった。
ぐったりしてると
「よお。」
アニキがお見舞いに来てくれた。
「ゴメン、調子悪いんよ。」
謝って、アニキはお見舞い金だけ渡してくれて直ぐに帰った。
遠いところ来てくれたのにゴメン。
隣の人が寝言で独り言を言ってた。
この数日、何度か耳にしていた。
笑ったり
会話したり
どんな夢をみてるのだろう?
もう一人のアニキのことを思い出す。
鼾と寝言がスゴかった。
実はお見舞いに来てくれたアニキの他、もう一人アニキがいる。
最後にあったのは、成人式の前後。
その後は大阪で消息不明。
定職についてなかったため、こちらは連絡先を知らない。
そして、あちらからも連絡がなく、もうすぐ十五年…
喘息もあったし死んでるのかもしれない…と母が言う。
いま、どこで何をしてるんだろ…
母子家庭だったため、小さい頃は家で男兄弟三人でいる時間が多かった。
せめて、元気でいてほしい…
夕方になり点滴が終わる頃…当然ながら身体の苦しみは増強。
トイレに行こうとすると目眩が強くて真っ直ぐ歩けなかった。
熱は下がっていたけど、悪寒がしていた。
ご飯なんて、とてもじゃないけど食べれない…
あたまがいたい
てが
あしがいたい
あつい
じんじんする
からだがばらばらになる
「大丈夫ですか?点滴の副作用だから先生は我慢するしかないって言ってましたけど…」
…
これを我慢…
ご飯食べれてないのに点滴もしない
こんなに痛いのに痛み止めも出ない
何もしないなら病院になんで僕はいるのだろ…
はぁはぁはぁ…
しんどい…